研究概要 |
一般的に我々ヒトを含む哺乳動物の心筋細胞は終末分化細胞と考えられ,生まれた直後に分裂能を失い,出生後は増殖しないものとして理解されてきた。そこで本研究では,心筋再生能を有しているイモリおよび生後心筋再生能を喪失しているラット心筋細胞を実験対象として,ヒトを含む哺乳類における心筋再生能喪失メカニズムを,個体発生学的および系統発生学的観点から解明することを目的とし,研究を実施した。その結果,イモリでは心筋損傷によって周囲残存心筋の増殖能を増加させる何らかの因子が放出されており,その因子は系統発生学的に保存されていること,その因子が哺乳動物心筋の生後分裂能喪失に関与しているROS-p38MAPK活性化-Cx43発現の正帰還制御ループを開放することでラット心筋細胞の増殖能を亢進させる可能性を明らかに出来た。
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