筋の伸張位保持と短縮位保持を交互に行わせる筋伸張位短縮位交互固定法による筋力の維持を明らかにすることを目的として実験的研究を行った。10週齢のWistar系雌ラット24匹を用い、6匹ずつ4群に分けた。内訳は、一側足関節を最大背屈位にギプス固定する背屈固定群、最大底屈位に固定する底屈固定群、最大背屈位と最大底屈位の固定を交互に繰り返す交互固定群、固定を施さないコントロール群とした。固定開始後4日目に、4群のラットのヒラメ筋と前脛骨筋を摘出し、最大単収縮張力と最大強縮張力を測定した。その後、筋湿重量を測定し、筋湿重量をラットの体重で除した相対体重比を求めた後に、組織学的検討を行った。筋伸張位短縮位交互固定法によってヒラメ筋と前脛骨筋の筋萎縮の防止は可能であった。しかし、前脛骨筋の最大強縮張力においては、交互固定群はコントロール群に比較して小さな値を示す傾向が認められ、収縮張力の維持は十分ではなかった。筋伸張位短縮位交互固定法による筋力の維持には限界があり、さらなる手段の追加が必要と考えられた。
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