研究課題
挑戦的萌芽研究
口腔がんの腫瘍周囲環境が腫瘍の発生、増殖、浸潤、転移等の悪性化に関与する因子を検索することを目的に研究を行った。副甲状腺 関連タンパクPTHrPは乳がんや前立腺癌の骨転移において重要な役割を果たすことが知られている。口腔がん細胞でもPTHrPが高発現していることを我々は見いだした。さらに実際の口腔がん患者でPTHrP陽性率と腫瘍の転移・再発に有意な相関があることも明らかにし た。腫瘍間質に存在する線維芽細胞は腫瘍血管と同様に正常細胞とは異なった形質を発現していることが報告され、cancer-associate d fibroblast (CAF)と称されている。口腔領域に発生する粘表皮がんで検索したところ、PTHrPを高発現する粘表皮がんの中間細胞集 にCAFが多くみられ、さらに新生血管が豊富に存在し、PTHrP発現腫瘍細胞の悪性形質との関連が示唆された。線維芽細胞株MRC5をPTHr P高発現細胞株HSC2の上清を加えたMRC5では明らかな増殖活性の亢進がみられた。PTHrPsiRNA導入HSC2細胞ではPTHrPのmRNA発現が低下 していることが示され、PTHrPノックダウンHSC2細胞培養上清を加えたMRC5細胞は増殖活性の減弱がみられた。さらに通常培養ではαS MAの発現がほとんどみられないMRC5、DP31、DP36をPTHrP産生癌細胞上清で培養したところ、線維芽細胞株でαSMAの発現が亢進することがWestern blotであきらかになり、PTHrPによる周囲間質に存在する線維芽細胞のがん関連線維芽細胞(CAF)への誘導効果が示された。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 3件)
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