当研究課題では、戦前の学生柔道に焦点を当て、講道館および柔道の創始者嘉納治五郎との関係に注意しながら、柔道の競技化過程を明らかにした。結果として、1914年から始まった全国各高等学校柔道大会(いわゆる「高専柔道大会」)は旧制高校間での競争意識の高まりを踏まえて、各校にとって公平な審判規定を制定することで開催できたことを明らかにした。また、高専柔道大会では寝技が隆盛するが、これを規制するため、講道館は1924年に審判規定を改正したが、高専柔道側はこれに反発し、帝大を中心とした帝大柔道会を発足、さらに独自の審判規定を成文化するに至った。こうして高専柔道は講道館から自立し競技化が進んだのである。
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