研究課題
若手研究(B)
中高齢者の四肢・体幹に好発する悪性軟部腫瘍である粘液線維肉腫は、有用なバイオマーカーが存在せず、臨床上、①初期診断の困難さ、および②切除後の高い局所再発率が問題となり、治療に難渋する。本研究の目的は、本腫瘍の再発・転移・予後に関する臨床病理学的因子について検討した上で、遺伝子発現解析、タンパク発現解析を行い、粘液線維肉腫における診断・予後関連バイオマーカーを同定することで、粘液線維肉腫の病理診断の標準化、至適切除縁の概念を確立することである。さらに、新しい治療標的分子の同定やリスクに応じて個別化した治療法の計画などを通して、粘液線維肉腫の治療成績の向上が期待される。①粘液線維肉腫データベースの作成、および臨床病理学的解析…当院の診療録データベースを用いて、症例選択基準に基づき、粘液線維肉腫の症例リストを作成した。それらの臨床情報をもとに予後因子について統計学的解析を行った。研究成果に関しては、国内外の学会で発表を終え、論文発表準備中である。②骨軟部腫瘍臨床検体の収集…我々は慶應義塾大学医学部倫理委員会の承認のもと、外科的切除された腫瘍検体の一部を-80℃に凍結保存した。粘液線維肉腫の他、本研究では対照群となりうる他腫瘍の検体も並行して凍結保存を行った。さらに初代培養を行った結果、3株の細胞株を樹立し、それらの細胞学的特性を解析し、論文発表準備中である。③凍結保存した臨床検体を用いた遺伝子・タンパク発現解析、診断・予後関連バイオマーカーの探索・検証…平成25年度は、③が解析の中心であった。凍結保存した臨床検体から、RNA、タンパク質を抽出し、遺伝子発現解析を行った。現在、i)組織型の異なる悪性軟部腫瘍組織同士の比較、ii)予後が異なっていた症例の粘液線維肉腫組織同士の比較、iii)画像上、浸潤性性格が異なる粘液線維肉腫同士の比較、などの解析中である。
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