本研究は、留学生と大学教員の円滑なコミュニケーションを目的として、講義データの分析などを行い、外国人にとっての「わかりやすい日本語」の特徴の一端を明らかにした。中国人留学生を対象とした調査の結果、「専門用語の説明」では「提題型」「質問型」、また、「一般語の語義説明」では「質問→要点→具体例」の構造が高評価を得た。一方で、インタビューやアンケートの記述から、中級日本語学習者の講義理解には、配布資料や教科書など、事前・事後に参照可能な視覚的リソースの役割が大きいことが判明した。ここから、講義では、視覚的なリソースの十分な提供が第一で、発話への工夫はそれを補完するものと位置付けるべきだと結論づけた。
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