本研究は、1945年後半から1948年に対象時期を限定し、被爆者の実体験から広島・長崎両市の「復興」を歴史的に考察することを目的とした。1945年~1948年は、被爆問題を考察する上で重要な時期であるにも関わらず、先行研究ではこの時期の研究が十分になされてきたとはいえない。先行研究史における本研究の意義は、2点あげられる。①広島・長崎両市の「復興」に関して、既成の研究蓄積が乏しい時期の史料・証言を収集することができた点である。そして、②その収集した史料に基づいて、両市の「復興」に対する被爆者の違和感を、被爆地の地方行政府、日本政府、占領軍および国際関係において分析し検討した点である。
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