日本の高度経済成長とその後の停滞の背後にあるメカニズムを明らかにするため、次の分析を行った。(1) 1970年代、アメリカ企業は日本への技術移転を行わなくなり、日本の高度経済成長は終焉した。これと同時期、アメリカ企業は中下位所得層への所得の分配を減らし、結果としてアメリカの所得格差が拡大している。本研究は、この原因を動学的一般均衡モデルを用いて分析し、所得税の減税で、アメリカの不平等の拡大を定量的に説明できることを示した。(2) 近年の経済成長が停滞した時期に、日本の大学における研究活動も停滞している。本研究は、この停滞を、大学教員の研究時間の減少により定量的に説明できることを示した。
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