本研究では、複数の銀行が預金取り付けにあい尚且つ同時にソブリン債がデフォルトに陥る理論的枠組みを構築した。銀行は預金をソブリン債に投資する。預金取り付けが起これば銀行はソブリン債を売却するため、政府がデフォルトに陥る可能性が高まる。これがさらに銀行危機を悪化させる。このような悪循環が存在する中で政府による最後の貸し手(LLR)機能は、支払い可能であるが非流動的な銀行における預金取り付けを防ぐことはできず、むしろ支払い可能であり流動的な銀行までをも預金取り付けに陥らせてしまうことを示した。これらの結果は、国内の政府によるLLRではなく国際的なLLRが必要となることを示唆する。
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