本研究では、日本自動車産業の競争力基盤である企業内訓練校の教育体制、特に指導員の調達・活用方式の内容、効果、機能条件を、大手自動車関連企業訓練校に対するヒアリング調査を通じて明らかにした。(1)多くの訓練校は「現場人材活用型能力開発」つまり現場第一線で活躍する技能者を一定期間、訓練校に配置転換して指導員として活用している。(2)現場人材による指導は、実践的な訓練生育成を可能にすると同時に、指導員自身を成長させて現場復帰後の活躍を後押ししている。(3)ただしこの教育体制を機能させるには、技能系従業員の長期雇用や生産-教育部門間の相互調整・協力が必要不可欠な条件となる。
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