研究課題/領域番号 |
24730632
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
実験心理学
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
林 和子 関西医科大学, 医学部, 助教 (70512995)
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研究期間 (年度) |
2012
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研究課題ステータス |
中途終了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2013年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2012年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | セロトニン / 背側縫線核 / 単一ニューロン活動 / サル |
研究概要 |
我々の行動は、幾多の選択肢の中から1つを選び、他を捨てることで成り立つ。その価値判断は、往々にして絶対的ではなく、環境や状況に応じ、相対的に行われる。近年、霊長類を用いた電気生理学的研究では、価値判断に関わる様々な脳領域とニューロン活動が明らかにされ、特に報酬や快刺激といった正の強化子に対するドーパミン神経の応答が注目を集めてきた。一方で、罰や不快刺激などの負の強化子を用いた報告は少なく、強化学習モデルでは、ドーパミン系に拮抗してセロトニン系が嫌悪刺激の情報処理に重要な機能を担うことが提唱されているものの、一貫した実験結果は得られていない。 生得的に、動物は報酬刺激に対して接近行動を示すが、電気ショックなどの嫌悪刺激に対しては、回避あるいは逃避を試みる。このような行動は、学習の根本的なメカニズムであり、オペラント条件づけと呼ばれる。そこで本研究では、〈報酬-嫌悪刺激〉に対する相対的な価値判断および〈接近-回避〉の行動選択におけるセロトニン系の役割を明らかにするため、サルにオペラント条件づけ課題を訓練し、セロトニン神経の起始核である背側縫線核から単一ニューロン活動記録を行った。報酬として水、嫌悪刺激としてエアパフ、中性刺激として音を用い、各々と連合させた3つの視覚図形のうち2つを同時呈示して、どちらか一方をサッケードにより選択させた。訓練の結果、サルは報酬/音、報酬/エアパフの対では報酬を選ぶが、音/エアパフの対では音を選択し、エアパフを回避した。課題遂行中の背側縫線核ニューロンの活動を記録したところ、報酬のみならず嫌悪刺激に対する特異な応答が多く観察された。古典的条件づけを用いた我々の先行研究では、エアパフを予告する条件刺激への応答は報酬と比較して顕著に少なかったことから、これらの結果は、セロトニン系が行動選択を要する価値判断により重要な役割を担う可能性を示唆する。
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