本研究は明治期の学校紛擾に焦点をあて、近代初期における教師-生徒関係の変容過程を明らかにすることを目的とした。それにより、教師-生徒関係の原初的な問題を実証的に検討し、現代における関係性の危機を捉えなおす視座を得ることを目指した。 研究ではまず、中等学校における学校紛擾の事例を、新聞等の記事から再検証した。その上で、教師-生徒関係が争点となって生じた紛擾の典型的な事例を挙げ、その発生要因や帰結を、当事者である教師や生徒の内面から分析していった。その結果、明治以降、近代化された教育システムが、教育関係を制度化し、それによって生じた教師-生徒間の軋轢が学校紛擾の背景にあったと考察した。
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