研究課題
若手研究(B)
本研究の目的はT細胞による免疫記憶に第4のリンパ球とよばれるNKT細胞がどのように関与するのか明らかにすることである。平成24年度は、下記の実験を行い成果が得られた。1.NKT細胞活性化によるメモリーTh1/Th2細胞増殖因子の同定:in vitroにて各種サイトカイン刺激によるメモリーTh1またはTh2細胞の増殖に対する影響を検討した。その結果、メモリーTh1またはTh2細胞はIL-2刺激のみで増殖することが認められた。IL-2KOマウスではiNKT細胞活性化によるメモリー-Th1またはTh2細胞の増殖は認められなかったことから、iNKT細胞の産生するIL-2がメモリーCD4 T細胞の増殖を誘導することがわかった。また、IL-4はIL-2受容体の発現を亢進させた。さらに、IL-21はIL-2刺激の下流にあるSTAT5のリン酸化を亢進させることがわかった。したがって、iNKT細胞はIL-2によりメモリーCD4T細胞の増殖を誘導し、IL-4やIL-21を同時に産生することで、その増殖を亢進させていることがわかった。2.メモリーTh1/Th2細胞の機能変化の解析iNKT活性化後のメモリーTh2細胞をフローサイトメーターにより回収し、DNAマイクロアレイを用いて非投与群との発現遺伝子の違いを検討したところ、Th1サイトカインであるIENγと転写因子Eomesの発現が増加していることがわかった。そこでsiRNAを用いてiNKT細胞活性化後のメモリーTh2細胞におけるEomesの発現を抑制したところ、メモリーTh2細胞からのIFNγの産生が抑制された。したがって、iNKT細胞活性化によるEomes発現の亢進がIFNγ産生を増加させたと考えられる。またメモリーTh2細胞をIL-2やIL-4で刺激するとメモリーTh2細胞におけるEtmes locusではクロマチンがオープンになることがわかった。これらのことから、活性化したiNKT細胞が産生するIL-2やIL-4がメモリーTh2細胞のEomesの発現を上げ、IFNγ産生を亢進させたと考えられる。
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