研究概要 |
原発性胆汁性肝硬変(PBC)は原因不明の自己免疫性肝疾患である。多因子性疾患であり,複数の遺伝子多型の蓄積が発症や病態に関連している。一塩基多型解析,マイクロサテライト解析,および,ゲノムワイド関連解析を用いた疾患感受性遺伝子の同定が進んでおり,複数の遺伝子とPBCとの相関が報告されている。これらの解析は,連鎖不平衡解析と相関解析が主体であり,真の疾患感受性遺伝子とその多型・変異の特定には至っていない。 本研究ではPBCの原因となる多型や変異を探索することを目的とした。 本年度は,PBC患者のデータ収集を行い,当院および関連施設にて診断したPBC患者290名の発症時各種マーカーや病態,その後の治療経過や病態の進行などを収集し,解析を行った。研究成果については,候補遺伝子としてSignal Transducer and Activator of Transcription 4(STAT4)遺伝子領域における,一塩基多型と疾患感受性や病態との関連を同定した。研究成果については,2012年6月7日に日本肝臓学会総会で報告し,2012年11月13日に米国肝臓学会でも報告する予定である。
|