研究課題
若手研究(B)
血管内皮細胞に特化したNF-κB経路が関わる酸化ストレスや炎症への関与についての検討は、ほとんどなされていないため、血管内皮細胞に焦点を絞り、NF-κB経路が全身代謝に及ぼす役割についての研究を開始した。リン酸化されない変異IκB蛋白を血管内皮細胞で過剰発現させることにより、NF-κBの核移行を抑制し、血管内皮細胞におけるNF-κB経路を遮断したトランスジェニックマウスを作製し、このマウスを用いて、解析を行った。血管内皮細胞のNF-κB経路を遮断することにより、動脈硬化や血管リモデリング、動脈瘤といった血管関連病態の発症を抑え得ることが、その機序とともに解明でき、論文(Saito T and Hasegawa Y et al, Importance of endothelial NF-κB signalingin vascular remodeling and aortic aneurysm formation. Cardiovascular Research.) に報告した。さらに、1.肥満や加齢に伴うインスリン抵抗性・耐糖能の悪化が抑制される。2.血圧上昇が軽減する。3.血管老化が遅延する。4.寿命が延びる。という大変興味深い結果が得られ、論文報告を行った(Hasegawa Y et al, Blockade of the NF-κB pathway in the endothelium prevents insulin resistance and prolongs lifespans. Circulation.)。通常、1つの臓器や組織の障害や発癌などの異常が生じると寿命は短縮するが、このマウスは、そういった異常がなく、全身の酸化ストレスが軽減し、活動的で健康的に寿命が延長している可能性が示唆され、大きな研究成果をあげることができた。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件)
Medical Science Digest
巻: 39 ページ: 113-116
Heart View
巻: 17 ページ: 28-35
Circulation
巻: 125 号: 9 ページ: 1122-1133
10.1161/circulationaha.111.054346
Cardiovascular Research
巻: 97(1) 号: 1 ページ: 106-114
10.1093/cvr/cvs298