研究概要 |
1. ALK 遺伝子変異陽性肺癌に対するALK 阻害薬+血管新生阻害薬の有効性の検討 我々は、ALK融合遺伝子を持つ肺癌細胞株であるH2228およびABC-11を用いて、ALK阻害薬であるAF802(CH5424802)の持続的暴露を行うことで、AF802耐性株であるH2228CHRおよびABC11CHRを樹立した。親株であるH2228およびABC-11はAF802に高い感受性を示す(IC50: H2228 0.030±0.020μM, ABC11 0.32± 0.087μM)のに対し、H2228CHR・ABC-11CHRはAF802に高い耐性を示した(IC50: H2228CHR 3.9±0.84μM, ABC-11CHR 5.3±0.91 μM)。しかし、これら細胞株に対して血管新生阻害薬であるbevacizumabはin vitroでの効果を認めなった。 2. ALK 遺伝子変異陽性肺癌に対するALK 阻害薬+EGFR 阻害薬の有効性の検討 上記、H2228CHRはALKだけでなくEGFRが活性化していることをwesernblottingにて証明した。H2228CHRに対するAF802単剤での細胞増殖率は87%であったのに対し、EGFR阻害薬(erlotinib)+ AF802の併用では47%と有意に増殖を抑制していた。 3. EGFR 遺伝子変異陽性肺癌に対するEGFR 阻害薬+血管新生阻害薬の有効性の検討 EGFR遺伝子変異を要する肺癌細胞株H1975のゼノグラフトを作製し、腫瘍抑制効果を検討した。EGFR阻害薬であるBIBW2992+cetuximabの2剤併用療法と比較し、血管新生阻害薬であるbevacizumabを加えた3剤併用療法で腫瘍縮小効果が強い傾向を認めた。
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