研究概要 |
1) ナノチューブ誘導物質の解明:実験計画ではEPC、脂肪由来幹細胞からのナノチューブ形成/阻害時における発現分子を解析することであった。まずEPC/脂肪由来幹細胞をAGEにより障害された血管内皮細胞と共培養しナノチューブ伸展を確認した。その後、F-actinポリメラーゼ阻害剤(CytoBを使用)により、EPCにおけるナノチューブ形成阻害を確認した。誘導物質に関しては、血管内皮細胞によるWeibel Palade bodyのexocytosis阻害物質であるITFを用い、ナノチューブ伸展誘導をFACSを用い検討したところ、その関与は認められなかった。そこでAnexin5により細胞膜上のホスファチジルセリンのドメインをシールドしてやると、細胞間交換が減弱することが確認され、これはマクロファージがCD36を介してPSを介してアポトーシス細胞を貪食するのに似る。このような”eat-me”シグナルとしてよく知られた、表在しているPSの認識には、LOX-1, SRB1, SRA, CD68, CD14, Tim-1やstabilin-2など様々な因子が関与している可能性があり、またその他の”eat-me”や”find-me”シグナルの関与もこれからの検討課題である。 2) オルガネラの機能・交換促進物質の解析:実験計画においては、オルガネラ交換促進物質を加え交換率、速度を検討することであった。EPCをAGEで障害された血管内皮細胞と共培養した場合とAGEでの障害を加えない場合との比較検討において、AGEで障害を加えた場合の方が、より多くのオルガネラ交換が起こることが確認された。今後、ナノチューブによるその他の細胞間情報伝達、交換物質である細胞質内物質や細胞膜構成成分 (細胞内カルシウム濃度、TLRs、NLRs、HMGB-1等)の発現による差異の検討を確認していく必要がある。
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