研究課題
若手研究(B)
本研究は、これまで病原性真菌感染防御に関わることが知られていたC型レクチンであるDectin-1の感染防御以外の免疫応答における機能を明らかにすることを目的とする。とくに、アレルギー応答における役割に注目し、研究開始当初、申請者はDection-1欠損マウスでは接触性皮膚炎(DHS)応答が後進することを見出した。本年度は、Dectin-1がどのような作用を介してCHS応答に対して抑制的に作用するかを明らかにすべく、Dectin-1シグナルが各種サイトカイン産生に及ぼす影響を解析した。Dectin-1発現細胞である樹状細胞を用い、Dectin-1リガンドであるβグルカン刺激時のサイトカイン産生を解析した。その結果、即知のTNFやIL-10のみならず、INF-βが新規のDectin-1標的遺伝子となっていることを見出した。詳細な解析の結果、Dectin-1シグナルはそれ自体ではIFN-β誘導活性を持たず、IFN-β誘導性のTLRシグナルを相乗的に増強することで強いIFN-β誘導能を付与することを見出した。一方、Dection-1シグナルはTLRシグナルによるIL-12遺伝子の発現誘導を抑制することを見出した。これからの結果から、Dectin-1シグナルは単独で各種のサイトカイン誘導能を持つことに加え、TLRシグナルとの共存下では協調性あるいは抑制的に働くことで免疫応答を巧妙に調節している可能性が示唆された。生体内ではDectin-1シグナル単独あるいはTLRシグナル単独の入力はまれで、多くの自然免疫受容体シグナルが同時に入ることで各々の免疫応答を惹起していると考えられる。本研究はその作用機序の一端を明らかにする手がかりとなることが期待された。
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