研究課題
若手研究(B)
ヒトTリンパ向性ウイルス1型(HTLV-1)は、成人T細胞白血病(ATL)の原因ウイルスである。ATLの約30-50%の症例で欠損プロウイルスの組み込みが報告されているが、我々は高プロウイルス量を示すHTLV-1キャリアでは、欠損プロウイルス保有細胞のクローナルな増殖が認められることや母児間感染キャリアでは、配偶者間感染キャリアよりもgag領域に欠損や変異をもったプロウイルス保有細胞が多いことを見出した。本研究においては、欠損プロウイルスの形成メカニズムを明らかにする目的で、我々が開発したNOGマウスゼノクラフトモデルを用いた感染実験を行った。平成25年度においては複数のHTLV-1感染、非感染細胞株をNOGマウス腹腔内に接種し、臓器に生着し感染細胞株から非感染細胞株にウイルスの伝播が成立するか、その場合欠損ウイルスの性状がどのように変化するかについて、検討している。またin vivoでの現象をin vitroで再現できるか否かについてもHTLV-1感染、非感染細胞株の混合培養を行い、欠損ウイルスの検出を試みている。これまでの検討から代表的HTLV-1感染細胞株であるMT-2細胞には複数の複雑な欠損ウイルスがゲノムにプロウイルスの形で存在していることが判明した。しかしマイトマイシンC処理により不活化したMT-2感染細胞株からの新規感染により欠損ウイルスが直接、あらたな感染細胞に組み込まれるか否かについては、これを支持する結果を得られていない。
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