研究概要 |
今回我々は、自己免疫の関与が提唱されている汎発型尋常性白斑の発症機序について色素細胞に対する細胞障害性T細胞の関与だけでなく、自然免疫の活性化の有無について検証した。具体的には、樹状細胞(単核球由来樹状細胞を中心に)に菌体成分下での機能変化を観察するものである。まず、ヒト末梢血より末梢血単核球を分離した後、IL-4/GM-CSF存在下で培養し単核球由来樹状細胞を単離する。また、引き続きTGF-βを添加することでランゲルハンス細胞へ分化させた培養細胞も使用した。細胞単離の有無をフローサイトメトリーにて確認後、LPS刺激および真菌を含むいくつかの菌体成分で刺激し、其々の刺激下で得られた培養液中のサイトカイン産生パターンを作成した。このパネルを健常人および汎発型白斑患者より採取された末梢血間で比較することで、全身性反応性の白斑関連サイトカインをいくつか同定した。さらに、樹状細胞の成熟化をCD80,83,86などの発現も比較することで、細胞性および液性反応を同時的に検討を行った。 現在、TLRsシグナルや自己炎症性シグナルなど、白斑関連の樹状細胞成熟化に関する細胞内経路の検証に加え、各種菌体のうち中心的役割を成す構造成分の同定を行いたいと考えている。これまでの研究を通して、我々は、汎発性白斑が抗原特異的な液性細胞性免疫だけでなく、皮膚科領域では乾癬やアトピー性皮膚炎など自然免疫の関与が唱えられている病態が、自己免疫性白斑でも存在する可能性を示唆した。
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