研究課題
若手研究(B)
本研究は、放射線診療分野におけるがん患者の個別化医療の実現を目指し、日本国内で開発されたDNA合成を反映する新規PET製剤(11C-4DST)を利用し、「病変の悪性度評価」と再発予測を行った。DNA合成を反映するPET製剤である4DSTを用いて非侵襲的にDNA合成の画像化を行い、病変個々の悪性度を病理学的診断と比較した。4DST-PET/CTにおけるDデータと血清チミジンキナーゼ値、患者の再発までの期間を比較し、4DST-PET/CTによる再発予測の可能性についても検討した。肺がん患者31名に対して4DST、FDG-PET/CTを行い、原発巣とリンパ節における病理診断との比較を行った。4DSTの転移リンパ節検出感度は82%であり、FDG(30%)と比較して優位に高値であった。一方、4DSTはリンパ節への非特異的集積を示し、特異度はFDGと比較して低値を示し、病理学的な特徴も認められなかった。しかし、4DST及びFDG検査所見と術後2年以内の再発率を比較した結果、4DSTのリンパ節への集積は、再発における最も優位な因子と考えられ(オッズ比=27)、さらに原発巣の4DST集積度(SUVmax)も優位な因子と考えられた。頭頚部腫瘍患者42名に対して、4DSTとFDG-PET/CTを施行した。病変における集積度の比較において、FDG低集積病変(SUVmax < 3)では4DST集積と高い相関性が認められたが(r=0.8)、FDG高集積例(SUVmax >3)では相関性はそれと比較して低値であった (r=0.5-0.7)。細胞増殖の間接的指標である血清チミジンキナーゼと直接的指標である4DST集積度との相関性は認められず、独立した因子と考えられた。今後は、多数例におけるより詳細な解析と臨床経過との比較によって、4DSTの臨床的意義を解明する必要があると考えられた。
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