研究課題
若手研究(B)
本研究の目的は、常染色体優性遺伝性難聴症例に対する、効率よい原因遺伝子同定法を確立し日本人特有の頻度の高い難聴遺伝子を明らかにし、変異同定率を向上させ、より多くの遺伝性難聴症例に有用な医療情報を供給することであった。平成24年度は、当施設を受診した患者において、優性遺伝形式の家族性難聴を示し、文書による同意と研究協力が得られる症例から血液を採取してDNAを収集した。家系内の各症例について難聴の発症時期、進行の有無、随伴症状の有無など病歴を詳細に聴取した。聴覚機能検査、画像検査、平衡機能検査を施行した。また、すでに当施設に収集ずみのDFNA家系発端者96例に対して、東アジア人で同定され創始者効果による日本人変異例の存在が期待される変異の有無を明らかにすることを目標とした。そのため、準備段階として本研究者が同様の方法を用いて日本人家系で同定した既存のDFNA5遺伝子変異について、追加の検証を進めた。具体的には同定された既存の変異の周囲に新たな変異がある可能性を想定して、周囲の領域について網羅的なDNA解析を行った。40箇所以上の変異候補が同定され、正常コントロール内での検討を行って結果を解析中である。本研究の特色である、創始者効果に着目し、日本人以外の東アジア人に認められた難聴遺伝子変異を解析するにあたって、予備研究にあたるDFNA5の欠失変異スクリーニングの精度を検討することで、本研究の手法の妥当性を確認することができると考えられた。また、本研究の手法で複数の遺伝子変異を検討することで、日本人における新しい優性遺伝性難聴の変異が同定される可能性が高いと考えられた。
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日本耳鼻咽喉科学会会報
巻: 116 ページ: 97-102
10031156222