研究課題/領域番号 |
24800029
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
繁冨 英治 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (00631061)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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研究課題ステータス |
採択後辞退 (2013年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2013年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2012年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | アストロサイト / アデノ随伴ウイルスベクター / GECI |
研究概要 |
本年度は、カルシウム感受性タンパク質(genetically encoded calcium indicator、以下GECI)を用いてアストロサイト選択的にカルシウムイメージングを行う実験系の導入と構築を行った。膜移行型GECI、Lck-GCaMP3を用いてアストロサイト特異的に発現させるために必要な試薬、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)は現在作成中であり、近日中に利用可能となる。この実験を行うための実験設備は最適化し終わり、AAVが入手されればすぐに実験を始められる予定である。このAAVコンストラクトは前所属先で作成されたものであるが、このコンストラクトを用いた論文が掲載された後に、使用許可が得られるように話を進めていた。しかし、この論文の掲載の受理に至るまで、追加実験が必要となったため、当初の計画を少し変更し、その追加実験を研究課題の一部として行った。AAVを用いた遺伝子導入は、導入の際に起こる脳への物理的障害及びAAVによる感染がアストロサイトの細胞内カルシウム動態に影響する懸念が指摘されたが、コントロール実験によりこの懸念は払拭され少なくとも我々の実験プロトコールでは問題ないことが証明された。これらの成果は、The Journal of General Physiology誌に印刷中で、近日中に掲載予定である。AAVを用いたGECIの発現系と同時に遺伝子改変動物を用いた実験系を進めた。Flx-GCaMP3マウス (Ai38, Jackson laboratory)及びGlast-CreERT2マウスを学内動物施設に導入し、現在安定して系統維持が出来ている状況である。両方の動物を交配した得られる、アストロサイト特異的にGECI、GCaMP3を発現するマウスの最初の産仔が得られており、2013年4月より実験に供する予定となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要にも記載したとおり、AAVを用いたアストロサイト選択的なLck-GCaMP3の発現系の構築には想定以上の時間がかかってしまったが、2013年6月には本実験は開始可能の予定である。一方、アストロサイト特異的にGCaMP3を発現する遺伝子改変動物を用いた実験を現在進めており、免疫組織化学やイメージングなどの基礎的データを取得している。実験に必要な、神経障害性疼痛モデルの作成法に関しては現在習熟中である。実験には一次体性感覚野後肢領域を用いるが、この場所におけるアストロサイトのFluo-4などのカルシウム蛍光指示薬を用いたカルシウムイメージングは開始しており、現在この領域のアストロサイトのカルシウム動態を詳細に解析している。この解析結果は重要で、今後進めるカルシウム感受性タンパク質を用いた解析を進める上での基礎データとなる。以上より、研究計画全体としてはおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の基軸となるアストロサイト選択的GECI(Lck-GCaMP3及びGCaMP3)発現系の構築はほぼ完成している。実験に必要となる設備も最適化された。カルシウム蛍光指示薬を用いた基礎データは現在収集しているところであるが、この実験系の最適化は済んでいる。そのため、使用可能な動物が安定供給することが可能となれば、効率的に実験計画を進めることができるようになる。この研究を推進する上での最重要点は、申請書にも記載した通り、実験動物の安定供給であり、これを適切に行ううえで研究協力者の所属講座・技術補佐員との連携を強化し、今後の実験を進めていきたい。
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