中世日本では、朝廷での複雑な生活に対応するために装束(服装、剣、馬具、車、調度等)に関する書物が作られた。これらの文献は服装史の史料として活用されてきたが、文献そのものの研究は必ずしも充分になされておらず、研究の進展のためには、よりよい写本を調べ、他の文献との関係を整理し、執筆目的を探る必要がある。このような観点から、本課題では、源通方(1189-1239)編『餝抄』等の装束書について研究した。 研究費の助成により、写本調査、複写の入手、関連文献収集等を行ない、『餝抄』ほか数種類の文献の内容を検討した。その結果、刊行されている活字本の本文を訂正し、書物の性格について新しい知見を得ることができた。
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