研究概要 |
本研究は、様々な精神疾患に適用できる最先端の認知行動療法である統一プロトコル(Unified Protocol; UP)の有効性を検討し、その治療メカニズムを解明する一環として計画された。とくに、本研究ではこの有効性を検討する臨床試験において使用する尺度である、「不安の重症度と生活障害の全般尺度(Overall Anxiety Severity and Impairment Scale; OASIS; Norman et al., 2006)」および「抑うつの重症度と生活障害の全般尺度(Overall Depression Severity and Impairment Scale; ODSIS; Barlow et al., 2010)」の信頼性と妥当性について、日本人を対象として検討することを目的とした。 これらの尺度は5項目からなり、回答時間は2-3分程度である。さらに、不安や抑うつに特化した回避行動、重症度、機能障害を問う項目が含まれ、心理的・認知的な症状を主とする既存の尺度(e.g., Stait-Trait Anxiety Inventory, Beck Deppression Inventory等)で測定されない包括性を含んでいる点にも特徴がある。そのため、これらのOASISおよびODSISは、認知行動療法のセッションなど臨床場面で実施できる簡便な尺度であるだけでなく、不安や抑うつの重症度と機能障害を的確に測定できると期待できる。 本年度は、英語版の原著者の確認を含めたバックトランスレーションを通したこれらの尺度の翻訳、研究デザインの策定、倫理委員会の承認手続きを進め、調査を実施した。
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