研究概要 |
受容体をノックアウトしたAPJKOマウスの血管発生期(P5)において、FITC dextran(4.4 kDa, 50 mg/mL, 50 mg/kg)を胎仔心臓から注入したところ、同齢野生型においてフラットマウント免疫染色において網膜血管からの蛍光漏出を認めた。そのため、網膜血管においてもアペリン/APJ系は血管の透過性制御に関わっていることがしめされた。また8週齢APJノックアウトマウスにレーザーによる実験的脈絡膜新生血管(CNV)モデルを作成しところ、CNVは野生型に比較しAPJノックアウトマウスで有意に小さく(p<0.001)、アペリン/APJ系が加齢黄斑変性症にも関与していることが示された。一方、網膜における生理的な血管新生において、アペリン/APJ系は未熟なグリア細胞を成熟化させ、血管新生を抑制する働きを既に報告しているが(Sakimoto et al. 2012)、CNVモデルにおいては、GFAP陰性PDGFRa陽性の未熟なグリア細胞は認められず、本経路とは別のメカニズムでCNVに関与していることが示唆された。
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