研究概要 |
本研究の目的は,たとえ認知症であっても一人で高齢者が住み慣れた自宅で暮らすことが可能な地域のネットワークのあり方を明らかにすることである.調査方法は,それぞれの一人暮らし認知症高齢者が在宅支援サービスにつながるまでの経過において,関わった人たちにそれぞれにインタビュー調査を実施した.その結果,地域に住む一人暮らし認知症高齢者が在宅療養サービスにつながる経過をまとめると,(1)「認知症状が発現する以前からの長いインフォーマルな付き合い」が基盤にあり,その長期的な付き合いの中で,(2)「徐々に変化していく当該一人暮らし高齢者の"様子のおかしさ,ちぐはぐさ"に気づく」ことによって,(3)「"このまま,放っておけない"気持ち」に触発されて,公的サービスにつながっていくことが示された.以上のようなインタビュー調査から,一人暮らし高齢者が長年にわたって築き上げているインフォーマルな付き合いをどのようにして組み込んでいくのかということが,地域ネットワークのあり方の鍵になっていると考えられた.
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