iPadなどのタブレット型コンピュータの活用により、授業内における資料提示の方法が大きく変わり、生徒の作品鑑賞における意欲・関心を大きく高めることができた。 これまでは教科書をはじめ、印刷された資料を配布して生徒一人一人が鑑賞していたものが、アプリケーションの活用によって資料の拡大・縮小、そして直接資料に線や文字を書き込むことが容易にできるようになった。このことによって、筆順や字形などの古典の特徴をさまざまな視点から考え、より細部にまで深く鑑賞する態度を育成できるようになった。また、資料を切り抜いて創作のための草稿作りなども行った。紙媒体以上にこれらの作業が容易であるため、生徒は自ずと試行錯誤を繰り返し、自ら考えを深めることができた。 その他、ワイヤレスLANを活用することにより、資料をそれぞれの端末に一括で送ったり、接続したプロジェクターを介してスクリーンに投影したりすることも容易となった。このことで生徒が制作した作品や資料をそのままスクリーンに投影して添削することや、生徒自身に気付いたことをその場で発表させるなどの授業展開を行うことができた。あるいはスクリーンに投影せずとも、一つの端末内で他者が保存したデータを閲覧することも可能となる。こうしたことが個の気づきを全体へと発展させ1授業全体での共有・深化を図ることと同時に、生徒個人の情報発信能力の育成に大いに役立った。さらにインターネットを活用することで、普段なかなか見られない古典の鑑賞や創作作品の制作への発展、調べ学習への活用へと発展させることができた。 今後、継続的な使用によるアプリケーションの操作性や、生徒が制作したデータの活用、個人情報や著作権の保護をいかにして行っていくかが大きな課題となるが、資料の提示方法やその取り扱いにおいて大変効果的なものになる可能性があることが明らかになった。
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