研究概要 |
1.研究の目的 算数において「数の構造」へ接近できる「数の規則性」に関する教材とその指導について検討し,これに基づく児童の探究的活動について,主に「探究心」の調査をもとに,その変容をみとることを目的とする。 2.研究の方法 「数の規則性」を扱った先行研究をもとに,「数の規則性」に関する教材を検討した(例えば,ビットマンの「数の本」にあるNA酷数など)。このうえで,本研究では「数の葡萄」という教材を開発し授業化した。これに並行し,児童の算数科に対する「探究心」の実態調査を行い,「数の規則性」を意識した授業を実施した後,算数科への「探究心」に関するポストテストを行った。 3.研究の内容 (1)算数科に対する「探究心」調査(プレテスト) 算数科に対する「探究心」を調査・分析するため,「島根式数学に対する情意的特性検査(ACTM)」を参 考に用いた。「探究心」の要素を「自信・誇り」「自主性」「内的成功への欲求」「達成志向の価値」「好意性」「思考の楽しみ」「学習の価値観」の7つのカテゴリーに分類し,1つのカテゴリーにつき下位項目3つの21項員に再構成した。 (2)教材開発 「偶奇を調べる」ことを目的とした紹介例として散見される教材であり,「計算ピラミッド」(「数の石垣」)の向きを逆にみたものである。一番上の3つの数をaとすると,2段目は2a,3段目は4aとなっている。本研究においては,一番上の真ん中の数と一番下の数の関係に,児童自らが気付くことをねらいとした。 (3)研究授業 小学校2年生を対象に行った結果,意欲的な取り組みのもとに規則性を見出すことができた。 (4)算数科に対する「探究心」調査(ポストテスト) 各項目ともに,分散分析の結果,平均の差が有意傾向であった。特に自主性について事後調査における各項目の主効果について,LSD法による多重比較の結果,全項目の平均の差が有意であった(MSe=0.1404,p<.05)。
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