1.背景浮体式海上風力発電の軽量化に使用されるアルミ合金は経年腐食し易いのが欠点である。しかもボルトナット締結の検査のX線法や超音波法などは専門的知識、高度な技術を必要とするため現場のメンテナンスには不向きである。 2研究の目的塩害腐食を受けたアルミ合金のボルトナットの軸力の低下をひずみゲージとトルクレンチの併用で精度良く評価出来るか否かについて調べるのが本研究の目的である。 3.研究の実施方法軸力測定用ひずみゲージを埋め込んだボルトナットを48本作成し軽量構造用アルミ合金板へ締結した。それを室内、野外、野外(塩害腐食)の環境下に約5か月間暴露した後、実験室へ持ち帰り、ボルト残留軸力の低下、ナットを緩める戻しトルク、ナットを締め直し本来のボルト軸力まで回復させる再締結トルクを評価した。 4.得られた結果室内と野外および野外(塩害腐食)の其々の残留軸力は元の95%、86%、89%であった。そして戻しトルクは其々元の77%、97%、123%であった。さらに再締結トルクは其々元の100%、151%、206%であった。%値は何れも平均値である。 5.まとめ野外、野外(塩害腐食)の環境下で生じる腐食が、アルミ合金のボルトナット締結の残留軸力の低下、戻しトルク、再締結トルクに影響を及ぼすのが分かった。ただし、戻しトルクの約1.5倍のトルクで再締結すれば腐食の程度に関わらず本来のボルト軸力にまで粗回復するという興味ある事実が今回新たに分かった。そしてひずみゲージとトルクレンチを併用する本研究の比較的簡便な評価方法によりボルトナット締結のメンテナンスが精度良く出来るのも分かった。
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