本研究は、これまで研究者らのグループが行ってきた、簡易電気自転車開発、競技用簡易電気自動車開発の技術と研究成果を基に、アシスト付電動補助リヤカーを母体とした電源供給や照明設備等を兼ね揃えた災害時支援ミニステーションの構築実現を目的として、以下の研究活動を行った。研究実施計画に沿って報告する。 1.災害時用の電動補助付リヤカーの設計・製作 駆動システムの試作検討を行い、電流センサを用いたマイコンにての左右二輪トルク制御の駆動システムとダイレクトドライブを用意し、安定した駆動性能と信頼性を実現した。 2.双方向型降圧チョッパ回路を利用した人力による電気自転車用発電回路の設計・製作 当該回路の発電性能を評価し、発電効率の改善を試みた。 データロガーを使用して、システムの完成度と改良点を確認した。 3.自作発電システムと市販発電装置の性能比較と安全性の検討 実用性と安全性を重視し、リヤカーに搭載する発電装置の比較・検討を行った。 今回の製作したリヤカーには、市販の発電装置を搭載し、自作発電システムは引き続き改良と開発を行う。 4.電動補助付リヤカーを母体とした発電装置を有した災害時のためのミニステーションの設計・製作 リヤカーの駆動輪は荷台の下に配置し、車輪半径分のスペースは、防災用品等を収納可能な二段構造とした。 駆動用回路・バッテリーの他、予備バッテリー、LED照明装置、ラジオ・ヘルメット等の防災グッツを収納。 荷台サイズは要救助者搬送も考え、1000×2000mm。長イスに変形できる救助用担架も製作、平時は搭載する。 5.実用性の評価と商品化の検討、研究取りまとめ 駆動方法の検討、発電・蓄電装置の性能と問題点を確認した。 設計・製作においては、被災経験から震災時に必要と考えられるコンセプトを最大限に取り入れたことから、やや重量超過の感が認められるも、実用性は十分である。今後は搭載したコンセプトを提示して、必要なものを選択し製作できる、震災用簡易リヤカーの設計・製作に向けて研究活動を行っていきたいと考えている。
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