| 研究課題/領域番号 |
24H00097
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| 研究種目 |
基盤研究(A)
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| 配分区分 | 補助金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
中区分3:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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| 研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
白石 典之 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (40262422)
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| 研究分担者 |
舩田 善之 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 准教授 (50404041)
覚張 隆史 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 准教授 (70749530)
板橋 悠 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (80782672)
三宅 俊彦 淑徳大学, 人文学部, 教授 (90424324)
笹田 朋孝 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (90508764)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2029-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2025年度)
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| 配分額 *注記 |
44,200千円 (直接経費: 34,000千円、間接経費: 10,200千円)
2025年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
2024年度: 10,660千円 (直接経費: 8,200千円、間接経費: 2,460千円)
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| キーワード | モンゴル帝国 / 考古学 / 文理融合 / チンギス・カン / 生化学 / モンゴル高原 / ヒトゲノム / アミノ酸同位体分析 / 文理融合研究 |
| 研究開始時の研究の概要 |
本研究では、考古学・生化学・文献史学の文理融合によって、チンギス・カン霊廟から出土した資料に基づき、チンギス・カンの実像に迫る。チンギス・カンとは、13世紀に成立したモンゴル帝国の初代君主である。著名な歴史上の人物であるが、彼の生涯には未解明の部分が多い。そこで私たちは、モンゴル国アウラガ遺跡のチンギス・カン霊廟に着目した。霊廟からの出土品のうち、供物の食品は彼の日常生活や嗜好を、金属製品は彼の自立強大化を支えた武器製作技術を、文字資料は彼の事績を知る手掛かりになる。また、霊廟の直下に墓と思しき大型竪坑があり、チンギス・カン自身が葬られている可能性が高く、遺伝や身体の情報の入手も期待できる。
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| 研究実績の概要 |
2024年度(研究初年度)の研究実績の概要は、おおむね以下の通りであった。2024年6月、研究メンバー全員が東京に集い、本科研のキックオフミーティングを実施した。6月、白石は1週間の日程でモンゴル国アウラガ遺跡の第1建物基壇(チンギス・カン霊廟)の地下構造を明らかにすべく、モンゴル科学アカデミー地理学研究所と共同で地中物理探査を実施。基壇直下に墓坑と思しき竪穴を確認。8月上旬に1週間、白石はモンゴル国オンドル・ハーン山南麓で墓地と思しき地点の発掘を、科学アカデミー考古学研究所およびヘンティー県文化局と合同でおこなった。残念ながら、そこは後世の攪乱で、墓ではなかった。そこで周辺の遺跡分布調査をおこない、遺跡地図を作った。8月中旬から9月上旬、三宅、笹田、白石は、アウラガ遺跡でチンギス・カン霊廟の発掘を科学アカデミー考古学研究所と合同で実施。竪坑部の発掘をおこなったが、墓坑ではなく、氷性土壌攪乱であることが判明。ひきつづき霊廟の傍らから見つかった供物を集積した遺構の発掘をおこなった。上下2層に分かれて供物層を検出できた。今後の研究の重要なサンプルを提供してくれるものと期待できた。11月、舩田と白石は広島大学で1泊2日にて、文献史学と考古学との融合研究の在り方について研究打ち合わせをおこなった。12月、三宅、笹田、白石は2泊3日の日程で新潟大学にてアウラガ遺跡発掘調査の資料整理を実施。2025年3月、板橋と白石は1週間の日程で、モンゴル科学アカデミー考古学研究所にて、アウラガ遺跡のチンギス・カン霊廟出土の動物骨、およびチンギス・カンの祖先の墓地と思しきモンゴル国エレーン・トルゴイ遺跡のヒツジ肩甲骨のアミノ酸同位体分析用サンプルを採取した。なお、1~3月、考古資料の整理を目的として青木要祐(博士)を雇用した。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究では、モンゴル国アウラガ遺跡に残る第1建物基壇(チンギス・カン霊廟)の発掘し、すでに確認されている竪坑の精査をおこなった。私たちチームではこの竪坑を墓坑と想定し、チンギス・カンの遺体が埋葬されている可能性を期待していた。もしチンギスの墓ならば、そこから出土する考古資料は、チンギスの人となりを明らかにするうえで重要な資料になるだけでなく、遺体の生化学的研究に基づく諸知見は、世界史研究に新たな1ページを加えるものになると期待された。ところが、墓坑と考えられていた竪坑は、発掘によって、氷性土壌攪乱という自然の営力により生じたものだということが明らかになった。調査チームでは研究の方針を立て直す必要を迫られた。そこで、チンギス・カンの数代前の祖先の墓所の可能性が高いモンゴル国エレーン・トルゴイ遺跡の資料を分析し、間接的ではあるが本課題のメインテーマである「チンギス・カンの実像」に迫ることにした。さいわいモンゴル国科学アカデミー考古学研究所に収蔵されている11~12世紀の8体分の人骨を分析することができ、ゲノム解析用のサンプルと、アミノ酸同位体分析用の食性分析用の動物骨をサンプリングすることができた。また、アウラガ遺跡では、チンギス霊廟の片隅で、彼の霊に捧げられた供物である動物骨が集積した遺構を発掘できた。チンギスの食生活の復元に重要な資料となるものと考えられる。研究初年度は、当初の目論見が外れて、いささか出遅れの感があるが、次年度以降に向けた新たな分析試料の入手、およびそれを用いた分析作業は順調におこなわれているといえる。
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| 今後の研究の推進方策 |
本課題のメインテーマである「チンギス・カンの実像」を解明すべく、チンギス・カンの数代前の祖先の墓所の可能性が高いモンゴル国エレーン・トルゴイ遺跡の資料の分析を、研究の中心に据える。次年度は調査チームはエレーン・トルゴイ遺跡に赴き、墓を発掘してヒトゲノム解析用の人骨サンプルと、アミノ酸同位体分析用の動物骨サンプルの採取をおこなう。墓の出土品の考古学的解釈、生化学的分析結果の文献史学的検証なども並行しておこなう。あわせて、初年度の検出されたアウラガ遺跡のチンギス霊廟に捧げられた供物の生化学的分析も実施する。所期の目的の完遂のため、生化学的分析を軸にしながらも、考古・文献史学を連動させた文理融合型の研究体制を維持・強化していく。
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