| 研究課題/領域番号 |
24H00106
|
| 研究種目 |
基盤研究(A)
|
| 配分区分 | 補助金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
中区分3:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
|
| 研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
清水 和裕 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (70274404)
|
| 研究分担者 |
小林 和夫 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (00823189)
鈴木 茂 名古屋外国語大学, 現代国際学部, 教授 (10162950)
弘末 雅士 立教大学, 名誉教授, 名誉教授 (40208872)
井野瀬 久美惠 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構本部, 大学共同利用機関等の部局等, 監事 (70203271)
貴堂 嘉之 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (70262095)
高橋 秀樹 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (80236306)
疇谷 憲洋 大分県立芸術文化短期大学, その他部局等, 教授 (80310944)
鈴木 英明 国立民族学博物館, グローバル現象研究部, 准教授 (80626317)
嶽本 新奈 お茶の水女子大学, ジェンダー研究所, 特任講師 (90795056)
|
| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2028-03-31
|
| 研究課題ステータス |
交付 (2025年度)
|
| 配分額 *注記 |
46,150千円 (直接経費: 35,500千円、間接経費: 10,650千円)
2025年度: 12,350千円 (直接経費: 9,500千円、間接経費: 2,850千円)
2024年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
|
| キーワード | 奴隷研究 / 比較史 / 奴隷制度論 |
| 研究開始時の研究の概要 |
本研究は、古代地中海世界から近世・近代大西洋奴隷交易へと展開した地中海型奴隷制度について、「奴隷制の想像力」がその変容過程に及ぼす影響に着目しつつ、そのグローバルで動的な展開を描き出す。「奴隷制の想像力」とは実際の奴隷制と隷属に関する言説や表象が作り出していく「奴隷制/隷属イメージ」が歴史的現実を変えていく力である。本研究は「奴隷制の想像力」を想定することによって、現代に至る奴隷制のあり方の世界史的な見取り図を提示し、奴隷/隷属研究に新たなステージをもたらす。
|
| 研究実績の概要 |
本研究の目的は、古代地中海世界から近世・近代大西洋奴隷交易へと展開した地中海型奴隷制度について、「奴隷制の想像力」がその変容過程に及ぼす影響に着目しつつ、そのグローバルで動的な展開を描き出すことである。「奴隷制の想像力」とは実際の奴隷制と隷属に関する言説と表象が作り出していく「奴隷制/隷属イメージ」が歴史的現実を変えていく力である。本研究はこの「奴隷制の想像力」を想定することによって、現代に至る奴隷制のあり方の世界史的な見取り図を提示し、奴隷/隷属研究に刷新をもたらす。 本年度(令和6年度)はその初年度であり、「奴隷制の想像力」研究を遂行するための方法の検討と、個々の予備調査を行った。本研究においては、2年度以降各年に(A)奴隷制/隷属関係のあり方をめぐる想像力、(B)ジェンダーと再生産をめぐる想像力、(C)解放・抵抗・逃亡をめぐる想像力の三点の視座を設定しており、これらの視点から 分析を行うにあたって、史資料及び方法に関する予備的検討と合意形成をすすめつつ、各地域・時代ごとに共通の基礎データの予備的な蓄積を行った。また次年度以降の連続的な国内シンポジウム開催など、具体的なブランを作成した。 具体的には、本年度は3度の国内研究会と1度の成果発信のための図書刊行プランの打合せ会を実施した。また8月には、ブラジルを訪問し、カウンターパートとなるマリア・エレーナ教授(サンパウロ連邦大学)と相互のプロジェクト紹介を兼ねた打合せを実施した。同時に、ブラジル共同調査として、リオデジャネイロ近郊、バイーア州、サンパウロの奴隷墓地など関連施設、コーヒープランテーションなどを調査し、また奴隷子孫による宗教儀礼カンドンブレに参加して、奴隷の置かれた環境と「想像力」への考察を深めた。 これらの成果は国内外の学術雑誌その他に論文および著作として発表した。
|
| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究調査活動は順調に推移し、当初予定していた成果を十分に達成することができた。 本課題研究は「奴隷制の想像力」をめぐる新たな共同研究であるとともに、先行するふたつの課題研究、基盤B「地中海型奴隷制度の史的展開とその変容:隷属の多様性をめぐる比較史的研究」(平成29~令和元年度)および基盤A「「奴隷」と隷属の世界史:地中海型奴隷制度論を中心として」(令和2年度~令和5年度)において提出した地中海型奴隷制度論を継承展開し、特に「奴隷制の想像力」の観点からその地中海型制度論の動態的把握を試みるものである。このため、初年度である令和6年度は、地中海型制度論の方法論的再検討と、「奴隷制の想像力」論の検証・検討のための準備活動を同時的に進行させ、両者を接合するための議論や予備調査を重ねた。同時に、本年度後半においては、これらの活動を背景に、個別の調査活動を推進した。 このために国内における研究会を6月、10月、3月に実施し、メンバー全員による全体および個別の研究方針の策定・検討を行ったほか、小林・嶽本による研究報告、鈴木による個別調査報告などを実施して、地中海型奴隷制度論を「奴隷制の想像力」から検証するための予備的議論を深めた。さらに、地中海型奴隷制度論をめぐる一般書の公刊を目指し、その作業を進展させた。 さらに8月には、ブラジルにおける共同調査を実施し、リオデジャネイロ近郊のペトロポリスおよびヴァソウラスにおいて複数のプランテーションを訪問調査し、それらの地における奴隷と奴隷主および労働の場の表象に関する知見を深めた。またバイーア州カショエイラにおいては、キリスト教と現地宗教の双方の儀礼の場を訪れ、奴隷たちの想像力と信仰の発現のあり方を調査した。さらにサンパウロ連邦大学を訪問し、同大学のマリア・エレーナ教授らと今後の共同研究の展開について、意見交換や情報交換を実施した。
|
| 今後の研究の推進方策 |
令和7年度は、第2年度以降に検討を行う三つの視座のうち、「奴隷制/隷属関係のあり方をめぐる想像力」の検討を開始する。このため、5月、9月、3月に3回の研究会を実施する。5月には、研究分担者井野瀬久美恵氏の近著『奴隷・骨・ブロンズ』をテーマに合評会形式で「隷属をめぐる想像力」へのアプローチを行う。同書は、本年度のブラジル調査、および先述の課題研究「「奴隷」と隷属の世界史」において実施したカリブ海域調査の成果であり、地中海型奴隷制度と植民地支配の連動のあり方、およびそこにあらわれる「想像力」の発露としてのヨーロッパ人の著作や博物館形成を扱っている。9月には後述の国内シンポジウムの準備として、シンポジウムのプレ報告やその組み立てを行う。また、メンバー外の報告者を招待して、予備的に外部からの意見を取り入れることを検討する。3月には、先述のマリア・エレーナ教授や氏の組織する研究グループおよびリオデジャネイロ連邦大学のフラヴィオ・ゴメス教授らとのオンライン研究会の開催を企画する。ブラジルの研究グループとの共同研究は、本課題研究の重要な推進課題である。 11月16日には東京で開催される西洋史研究会大会においてシンポジウムを行う。これは、令和8年12月に福岡で開催される九州史学会大会におけるシンポジウムと連動し、2年間の連続シンポジウムによって、本課題の問題意識とその成果を国内に波及させることを意図するものである。それらの成果は、さらに最終年度における国際シンポジウムにおいて、さらなる国際化を図る。 同時に、「奴隷/隷属」問題の、日本国内における関心の向上や、一般における問題意識の刷新を図るべく、一般書の編集出版を行う。これは令和6年度に企画執筆をすすめたものであり、令和7年度内の発行を目指す。その他、個別の研究成果は、学術雑誌における論文、単著、また学会報告として国内外に発信する。
|