| 研究課題/領域番号 |
24H00124
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| 研究種目 |
基盤研究(A)
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| 配分区分 | 補助金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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| 研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤岡 悠一郎 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (10756159)
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| 研究分担者 |
伊藤 千尋 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (00609662)
手代木 功基 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (10635080)
濱 侃 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 助教 (10851579)
佐藤 靖明 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (30533616)
八塚 春名 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (40596441)
福永 将大 九州大学, 総合研究博物館, 助教 (50847093)
夏目 宗幸 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 准教授 (50906732)
上條 信彦 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (90534040)
近藤 祐磨 福岡大学, 人文学部, 講師 (90878232)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2029-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2025年度)
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| 配分額 *注記 |
47,190千円 (直接経費: 36,300千円、間接経費: 10,890千円)
2025年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2024年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
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| キーワード | 採集林 / 採集活動 / 植物利用 / 二次植生 / 知識の継承 |
| 研究開始時の研究の概要 |
昭和30年代以降,日本の農山村で発達してきた生活様式が激変し,私たちは地域固有の自然と結びついた生活の多くを失った。野生の植物を自ら手に入れる採集活動もその一つである。採集活動の大幅な減少により,採集活動によって形成・維持されてきた植生景観(採集林)も減少し,消失の危機にある。しかし,日本には今なお採集活動と採集林が残存する地域もある。本研究では,採集林の概念や実態を地理学と考古学を基軸とする統合的な学際研究によって深化させ,採集林の形成要因と歴史的な動態,地理的な位置づけを解明する。そして,学術的な知見を基に,現代的な形で採集活動を展開する社会実践を試み,将来における採集のあり方を提案する。
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| 研究実績の概要 |
1年目にあたる本年度は、3つの広域植生帯(亜熱帯島嶼部・照葉樹林帯・ブナ帯)に設置した集中調査地において、共同研究に向けた情報収集や現地調査を実施した。集中調査地のうち、滋賀県北部ではトチノキ林に関する現地調査を実施するとともに現地の協力組織である「巨木と水源の郷をまもる会」の採集林の観察会などに協力した。沖縄県座間味島では3月にヤマモモの採集活動に関する参与観察とインタビュー調査、採集林における植生調査やドローン空撮を実施し、データを取得した。また、座間味島の周辺に位置する島や沖縄本島においてヤマモモ採集に関する情報収集を開始し、ヤマモモ利用の文化の広がりについてのデータを集めた。長崎県対馬においても予備的な現地調査を実施し、森林利用に関するデータを収集した。他の2か所の集中調査地については、文献やオープンデータを通じた情報収集を行った。 3つの研究班(生態・環境班,文化・社会班,考古・歴史班)においては、各班の研究の準備を進めた。生態・環境班では、上述の座間味島のほか鳥取県智頭町のトチノキ林を対象としてデータを収集した。文化・社会班では、沖縄本島、座間味島、鳥取県智頭町、長崎県対馬市などでインタビュー調査を実施し、各地の採集活動の実態把握を進めた。また、沖縄県山内町では、立体地形模型を使ったワークショップを行い、住民から過去の採集活動の詳細情報を収集する試みを行った。考古・歴史班では、遺跡からの植物遺存体の出土状況をデータベースにまとめ、予備的な資料として整理した。さらに、トチノキの殻剥きで排出された皮の分類、使われた石の使用痕観察などを実施した。 5月にモロッコで開催された国際エスノバイオロジー学会で代表者と分担者が本科研の内容に関連する研究発表を行うとともに、国際的な研究動向についての情報収集を行った。また、月刊考古学ジャーナル誌にて本科研を紹介する論考を公表した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目の活動では、研究計画調書で記載していた集中調査地の半分において現地調査を開始し、データを取得した。それ以外の半分の集中調査地においても現地調査に向けたデータ収集を開始している。さらに、調査候補地のいくつかの地域においても予備調査を実施しており、当初の計画以上の進展が認められる。また、各研究班においても調査向けた情報収集を開始し、当初の想定以上の進展が認められる。 他方、研究者同士の個別の打ち合わせや合同調査を実施しているものの、全体での会議の開催などに遅れが生じている。これらの情報を総合的に判断し、全体的な評価としては、「概ね順調」と判断した。
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| 今後の研究の推進方策 |
2年目にあたる2025年度は,集中調査地を中心に現地調査を進め,採集活動や採集林に関するデータを収集していくことに力点をおく。複数のメンバーによる合同調査を実施し、各班の調査を集中的に実施していく。また、現地のステークホルダーとの調整や調査地域の資料収集を進め、可能な場所ではワークショップなどを開催し情報を収集することを目指す。 生態・環境班では、採集林における現地調査を進め,毎木調査や地形測量,土壌調査等を実施し,植生構造と環境条件を明らかにしていく。さらに,採集林を対象にドローン搭載型のマルチスペクトルカメラを用いた個々の樹木の樹種同定技術やAI画像識別による結実量推定手法,LiDARデータを活用した調査手法の開発を行う準備を進める。 文化・社会班では、過去に採集活動を行っていた/現在も採集活動を実施している地域住民を対象とした聞き取り調査を実施し,地域の生業や資源利用に関する文化や在来知を把握し,その継承をめぐる状況や課題などを明らかにする。本年度は、集中調査地における現地調査を進める。 考古・歴史班では、採集林の立地地域に分布する考古遺跡を対象に出土遺物を分析し,先史時代(特に縄文時代)の生業や植物利用の変遷を明らかにし、また近世(特に江戸時代)の歴史資料等から,採集活動や採集林に関する情報を収集する。 本共同研究メンバーの研究内容や今後の研究計画を共有するため,全体会議を実施する。さらに,研究の情報をweb等を通じて発信していく。
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