| 研究課題/領域番号 |
24H00239
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| 研究種目 |
基盤研究(A)
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| 配分区分 | 補助金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
中区分15:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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| 研究機関 | 東京大学 (2025) 国立研究開発法人理化学研究所 (2024) |
研究代表者 |
鈴木 大介 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (70769504)
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| 研究分担者 |
久保野 茂 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 客員主管研究員 (20126048)
清水 則孝 筑波大学, 計算科学研究センター, 准教授 (30419254)
今井 伸明 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (80373273)
道正 新一郎 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, チームリーダー (80392140)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2029-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2025年度)
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| 配分額 *注記 |
47,840千円 (直接経費: 36,800千円、間接経費: 11,040千円)
2025年度: 14,040千円 (直接経費: 10,800千円、間接経費: 3,240千円)
2024年度: 14,430千円 (直接経費: 11,100千円、間接経費: 3,330千円)
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| キーワード | 核構造 / 核変形 / 元素合成 / RIビーム / 放射性同位体 |
| 研究開始時の研究の概要 |
核変形は原子核の重要な結合エネルギー獲得メカニズムである。近年、放射性同位体(RI)領域において急激な核変形進化(変形相転移)が発生していることが明らかになってきた。核変形進化の創発機構、核内の量子構造とダイナミクスの変化、そしてRIの急激な進化が爆発天体中の元素合成反応に与える影響は核物理の重大な謎の一つである。本研究は先端加速器施設RIビームファクトリーにおける核分光実験と富岳等のスーパーコンピュータを用いた大規模核構造計算を融合することにより、核変形進化現象の解明に挑む。
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| 研究実績の概要 |
本研究は、放射性同位体(RI)において観測される急激な核形状の進化、すなわち変形相転移の創発機構を理論・実験の両面から解明し、それに伴う原子核内部の量子構造の変化や、核ダイナミクスへの影響、さらにはこのような構造進化が爆発的元素合成(r過程など)に与えるインパクトを明らかにすることを目的とする。そのために、理化学研究所RIビームファクトリーにおける最先端のガンマ線核分光実験と、富岳などの大規模計算機を用いた原子核構造理論計算とを融合させ、核変形進化の定量的理解に挑戦している。研究実績としては、以下の通りである。(1)CsIシンチレータとMPPCを用いたガンマ線分光検出器の開発に取り組み、結晶選定、光読み出し素子の性能試験、遮光手法の評価、ならびに温度依存性の定量化を行い、安定した検出器設計の基盤を構築した。(2)OEDO減速ビームラインで用いる大強度ビーム対応ガス検出器を新規に設計・開発し、ワイヤーチェンバー技術を基にした計測器として、目標性能を満たすことを確認した。(3)RIビームの輸送シミュレーション精度を高めるため、輸送行列の高精度入力に対応したシミュレーションコードの機能拡張を実施した。(4)富岳等の計算機資源を活用した大規模核構造計算に向けて、原子核の平均場構造や殻構造変化を記述可能な核理論コードの整備とベンチマーク試験を進めた。これらの成果を通じて、変形相転移の量子論的理解およびその天体核物理への応用に向けた実験・理論の基盤を確立しつつある。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究における進捗状況は以下の通りである。(1)ガンマ線分光用のCsIシンチレータ検出器開発においては、結晶の品質評価を行い、遮光材(フィルムと塗料)によるエネルギー分解能への影響を比較し、より安定な遮光性能を持つフィルムを採用した。さらにMPPC(多画素光子計数器)の読み出し基板を設計・試作し、温度依存性や線形性の検証を行うことで、安定した動作環境の構築を進めた。(2)液体水素標的の開発では、最終的に直径4cmの大型セルを実現することを目指し、まずは既存技術を基にした直径2cmセルの試作を行い、冷却・安全系統を含めた評価を進行中である。(3)OEDO減速ビームラインでの大強度ビーム計測に対応するガス検出器の開発では、ワイヤーチェンバー方式を採用し、電極構造・ガス流路の最適化を行った試作機を用いて、高レート環境下での計測テストを実施している。(4)RIビームの高効率輸送を実現するため、BigRIPSおよびOEDOの輸送光学に対応したシミュレーションコードをアップデートし、より高精度な磁気輸送行列の取り扱いに対応させた。(5)理論面では、富岳などのスーパーコンピュータを活用することを念頭に、量子平均場に基づく大規模核構造計算コードの並列化・高速化を進めており、変形相転移を記述するための準備計算および初期条件設定の最適化に取り組んでいる。
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| 今後の研究の推進方策 |
今年度は、RIビームファクトリーを活用した検出器・ビームライン開発と、理論的側面での大規模核構造計算の二軸体制を継続・強化し、変形相転移現象の包括的理解に向けた研究を推進する。具体的には以下の方針に基づく。(1)CsIシンチレータとMPPCを用いたガンマ線分光検出器については、読み出し系と回路設計の完成を目指すとともに、デジタイザを用いたデータ収集システムを整備し、真空チェンバー・架台の機械設計も含めて実験系の立ち上げを進める。(2)OEDO減速ビームラインについては、ガス検出器本体とその周辺機器(高圧供給、信号処理、冷却など)を含めた運用体制を構築し、スペクトロメータ下流に設置される検出系の最適化を図る。(3)BigRIPSとOEDOを対象とした数値輸送シミュレーションを通じて、RIビームの純度・強度・輸送効率を最大化するパラメータスタディを実施する。(4)核構造理論の面では、スーパーコンピュータによる量子平均場計算を実行し、特に変形相転移領域にある核種について、殻構造変化や形状進化のメカニズムを定量的に解析する。(5)元素合成への応用として、r過程での寄与が期待される変形核の同定と、実験・理論を接続した反応率推定への展開を進めることを目指す。
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