| 研究課題/領域番号 |
24H00556
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| 研究種目 |
基盤研究(A)
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| 配分区分 | 補助金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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| 研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
立花 誠 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 教授 (80303915)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2028-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2025年度)
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| 配分額 *注記 |
47,320千円 (直接経費: 36,400千円、間接経費: 10,920千円)
2026年度: 13,520千円 (直接経費: 10,400千円、間接経費: 3,120千円)
2025年度: 12,090千円 (直接経費: 9,300千円、間接経費: 2,790千円)
2024年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
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| キーワード | 性分化 / エピゲノム / クロマチン / 姓決定 / Sry / ほ乳類 / 性決定 |
| 研究開始時の研究の概要 |
「転写因子カスケードによって自律的に進行する」との考え方が、ほ乳類生殖腺の性分化機構の既存概念であった。一方私たちは、エピゲノム制御がほ乳類の性決定に重要な役割を担うことを世界に先駆けて明らかにしてきた。そして最近、マウス胎仔の生殖腺の性分化が妊娠期の母体が摂取する餌料の影響を強く受けることを見出した。本研究提案では、in vivoとin vitroの多面的な解析により、“母体栄養が胎仔の細胞代謝を介してエピゲノムを変える”経路の分子機序を明らかにする。この分子機序の理解は、「転写因子が主役」とのほ乳類の性分化機構の既存概念のリバイズにつながる。
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| 研究実績の概要 |
ほ乳類の性決定は、転写因子カスケードによる自律的で一方向性のものとこれまで考えられてきた。環境に依存した柔軟かつ可塑的なエピゲノム制御がほ乳類の性決定に重要な役割を担うことを示すことで、ほ乳類の性に関する既存の概念を改訂(リバイズ)することが本研究の目的となる。2024年度は、性決定を担う生殖腺体細胞のメタボール解析を行った。その際に、性決定遺伝子が発現するE11.5 XY 生殖腺のNR5A1高発現細胞(NR5A1-high細胞)を用いた。比較対象として、同じ生殖腺から得られるNR5A1弱陽性細胞(NR5A1-1ow細胞)を使用した。統計的に検討した結果、NR5A1-low細胞とhigh細胞では明らかに代謝状態異なっていることが分かった。細胞数に関しては、10^5 sampleと10^4 sampleの間で結果が分離する傾向があり、10^5 sampleに限定して集中的に解析した方が良いとの結果が得られた。統計的に有意な変動を示した代謝物にはアミノ酸(リシン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸)が多かった。このうちグルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸はTCAサイクル周辺の代謝物であった。その特徴として、TCAサイクル前半部分(クエン酸、イソクエン酸、アルファケトグルタル酸)はNR5A1-1ow細胞で多く、後半部のフマル酸、マレイン酸はNR5A1-high細胞で多いとの特徴があった。特筆すべきはピルビン酸であり、NR5A1-1ow細胞では検出限界以下であったが、NR5A1-high細胞では約0.2fmol/cellであった。以上まとめると、性決定を担うプレセルトリ細胞はユニークな代謝状態を有することが明らかになった。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
メタボローム解析に加え、NR5A1-high細胞とNR5A1-1ow細胞間で遺伝子発現の比較解析を行った。その結果、脂質β酸化経路の律速遺伝子であるCpt1aの発現が、NR5A1-high細胞で有意に高いことが明らかになった。また、Cpt1aの基質であるカルニチンは、NR5A1-highよりもNR5A1-1owの方が高かった。この結果は、性決定を行うNR5A1-high細胞ではCpt1aによってカルニチンがアシルカルニチンへと変換されている可能性を示唆した。本結果に基づいて私たちは、Cpt1aで律速される脂質β酸化経路がプレセルトリ細胞では活性化しており、それによって産生されるアセチルCoAがSryエピゲノムの活性化に貢献していること仮説を立てた。それを検証すべく、Cpt1aの遺伝子欠損マウスを作製し、生殖腺分化の表現型の解析を行った。Cpt1aの欠損は早期胎生致死であることから、Cre-loxPによるコンディショナルノックアウト(KO)マウスを樹立した。CreドライバーはSF1-Creトランスジェニックマウスを使用した。Cpt1aを単独で生殖腺体細胞特異的に欠損したマウスは、オスからメスへの性転換を起こさなかった。この結果を踏まえ、Jmjd1a欠損の遺伝背景でさらにCpt1aを条件的に欠損するマウスを樹立した。次に、胎生14日のCpt1a/Jmjd1a両欠損マウスの生殖腺を摘出し、オス細胞マーカーであるSOX9とメス細胞マーカーであるFOXL2の二重染色背を行った。その結果、Cpt1a/Jmjd1aを両欠損したXYマウスの生殖腺は、Jmjd1a単独欠損のそれよりも卵巣化が大きく亢進していることが明らかになった。
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| 今後の研究の推進方策 |
今後の研究の最も重要な点は、Cpt1a欠損によるJmjd1a欠損背景下での卵精巣化の亢進が、Sryの発現低下に起因するのかどうかを明らかにすることである。そのためには、Cpt1a単独欠損、Jmjd1a単独欠損、Cpt1a/Jmjd1a両欠損のE11.5胎仔生殖腺(XY)を摘出し、それらのSryの発現について野生型と比較する必要がある。もししこでポジティブな結果(Cpt1aの欠損がSryの発現低下をさらに亢進させる)が得られれば、次はその原因を明らかにする。私たちのストーリーに従えば、Cpt1a欠損によってミトコンドリアのアセチルCoAの量が低下し、それが核や細胞質のアセチルCoAの量の低下につながると予想される。まずは、メタボローム解析でCpt1a欠損によってアセチルCoAの量が低下するのかを検証する。あるいは、市販の検出キットによってアセチルCoAの量を測定する。次に、E11.5胎仔生殖腺(XY)の生殖腺体細胞を精製し、クロマチン免疫沈降実験を行う。これにより、Sry遺伝子座のアセチル化ヒストンのレベルを検証する。これまでの研究により、p300/CBPと呼ばれるヒストンアセチル化酵素がSryの活性化に重要であり、それらの酵素はH3K27のアセチル化を触媒するとされている。そのため、Sry遺伝子座のH3K27アセチル化のレベルについて特に着目する。また、Cpt1aのアイソザイムであるCpt1bの欠損アレルを作出し、Cpt1aの表現型を亢進させるかどうかを遺伝学的に明らかにする。
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