研究課題
基盤研究(A)
ピロリ菌は細菌性がんタンパク質CagAを胃上皮細胞内に注入し、発がん性ホスファターゼ SHP2の脱制御を介して胃がん発症を直接促す。同時に、CagAは極性制御キナーゼPAR1bを抑制することでBRCA1の細胞質ー核内移行を阻止し、BRCAnessと呼ばれるゲノム不安定化状態を惹起する。これまでBRCAnessが関わるがんは一部の遺伝性乳がんや卵巣がんなどに限定され、BRCA1に代表されるBRCA遺伝子の2ヒット不活化に起因するとされてきた。本研究では、ピロリ菌CagAによる核内BRCA1の枯渇というBRCA変異を伴わない新規BRCAness誘導機構が胃がん発症に果たす役割を明らかにする。