本研究の目的は,教授人間学理論に依拠し,「数学Ⅲ」での探究型授業の実現可能性を検討することである.今年度の作業では,これまでに本研究で得られた定積分の知見をもとに,探究型授業を設計・実践する.その後,実践において生じた探究の過程を教授人間学理論のツールを用いて分析し,行われた探究が豊かなものであったのか,探究の過程で生徒は対象となる数学的知識と自然に出会うことができたのか,といったことを考察する.考察を通じて,生徒が対象となる数学的知識に自然と出会うことを可能にするための条件などを明らかにし,“通常”の科目における探究型授業の設計に向けた知見を得る.
|