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方言衰退・消滅のメカニズムとその可視化ー静岡井川の危機方言を事例として

研究課題

研究課題/領域番号 24K00065
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分02060:言語学関連
小区分02080:英語学関連
合同審査対象区分:小区分02060:言語学関連、小区分02080:英語学関連
研究機関静岡理工科大学

研究代表者

谷口 ジョイ  静岡理工科大学, 情報学部, 教授 (80739201)

研究分担者 山田 真寛  大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 研究系, 准教授 (10734626)
山岸 祐己  静岡理工科大学, 情報学部, 准教授 (10817919)
研究期間 (年度) 2024-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2026年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2025年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
キーワード危機言語・方言 / 少数言語・方言 / 方言の記録保存・継承保存 / 方言衰退の可視化 / 言語復興 / 言語の島 / 言語の再活性化 / 方言衰退 / データの可視化
研究開始時の研究の概要

本研究は、「方言の消滅・衰退は、どういったメカニズムによって生じ、どのような要因によって進行するのか」について明らかにすることを目的としている。衰退・消滅の危機にある大井川上流域の井川方言について、過去に収集された自然談話データ、および新たに収集するデータを用いて、通時的な手法により、方言が衰退・消失するメカニズムを解明し、その過程を可視化することを目指す。また、井川方言の記録・保存・アーカイブ化を行うことで、地域が利用可能なリソースとし、研究成果を地域に還元する。加えて、地域の高齢者と協働し、啓蒙・教育活動を実施することによって、限界集落に暮らす高齢者が活躍できる場を創出することを目指す。

研究実績の概要

本研究の主たる目的は、以下の3点である。
[1] 消滅の危機にある大井川上流域の井川方言を対象とした実地調査を行い、どういった言語変化・変異が見られるのかについて検討することで、方言衰退のメカニズムを解明すること
[2] 井川方言について、その記録・保存・アーカイブ化を行い、オンライン辞書を整備することで、研究者のみならず、地域が利用可能なリソースとし、研究成果を地域に還元すること
[3] 井川方言の継承について、地域住民とともに検討する機会を設け、方言の再活性化を通した活気ある地域づくりに貢献すること
初年度となる2024年度前半は、文献研究により、未だ解明されていない井川方言の音韻的特徴および語法について整理した。また、方言衰退にかかる言語外的要因についてデータサイエンスの手法を用いて可視化することを試みた。(目的[1])。加えて、継続的なフィールド調査により、井川方言の記述を進めるとともに、自然談話の収集を行った。オンライン辞書の整備についても、入力作業を完了した(目的[2])。後半は、1950年から80年代に収集された井川方言の音声データを文字化し、その一部を「井川の昔語り」という冊子にまとめ、地域住民に配布した。また、コミュニティと協働することで、井川方言を用いた紙芝居を制作し、上演・配布した。さらに、地域住民と、井川の方言や民話について学ぶ会合を定期的に開催し、限界集落の高齢者が、人とのつながりの中で、生きる喜びをもって活躍できるような活動を展開した(目的[3])。こうした成果は、学会発表、論文、書籍等で発表されるとともに、メディアでの報道を通し、広く社会に知られる機会を得た。

現在までの達成度
現在までの達成度

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り、定期的にフィールド調査を実施し、言語調査および自然談話の収集を行なっている。また、得られたデータから、方言衰退の過程を可視化する作業も順調に進んでいる。2024年度は、MDS(多次元尺度構成法)プロット、および階層クラスタリングモデルを用いて、井川方言の衰退にかかる要因を分析し、論文化した。
また、研究計画に沿って、高齢者らと協働し、印刷物(地域に伝わる民話「てしゃまんく」の紙芝居、および1950年から80年代にかけて収集された民話を文字化した冊子)を制作し、地域コミュニティに配布した。
ウェブ上で検索可能な「日琉諸語オンライン辞書」の整備も問題なく進行しており、語彙の選定および入力は完了している。
地域住民を対象とした方言学習会も合計8回開催し、今後も継続して開かれる予定である。

今後の研究の推進方策

今後は、以下を重点的に進める方針である。
・複雑なデータから単純な可視化結果を生成する手法は、方言研究に十分生かされているとは言えない。2025年度は、情報処理学会、人工知能学会など情報系の学会においても、本研究における提案手法について発表することで、人文情報学にも貢献していきたい。
・オンライン辞書に例文、および音声を付す作業を進め、2025年度中の公開を目指す。
・高齢者らと協働し、新たな印刷物(紙芝居。あるいは絵本)を制作する。完成物も重要であるが、制作過程において、地域住民と共に、母方言の衰退や継承について考えることができるため、重要なプロジェクトである。
・現在、実施している地域住民との会合を継続して行うとともに、2025年度は井川小中学校の放課後活動にも参加し、子どもたちと方言学習を実施する予定である。現時点では、井川地域の動植物図鑑を作成するなど、方言教育と環境教育を融合させたプログラムを検討している。

報告書

(1件)
  • 2024 実施状況報告書
  • 研究成果

    (18件)

すべて 2025 2024 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 2件、 招待講演 6件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Haverford College, USA(米国)

    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
  • [国際共同研究] University of Toronto(カナダ)

    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 静岡方言における推量表現の変異・変化 : カテゴリカルデータ分析による可視化手法を用いて2025

    • 著者名/発表者名
      谷口 ジョイ、山岸 祐己
    • 雑誌名

      静言論叢

      巻: 8 ページ: 1-15

    • DOI

      10.14945/0002001413

    • ISSN
      24342599
    • URL

      https://shizuoka.repo.nii.ac.jp/records/2001413

    • 年月日
      2025-03-27
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 静岡・井川方言に見られる急速な言語シフト:世代間継承の断絶および活性化プロジェクト2025

    • 著者名/発表者名
      谷口ジョイ, 山岸祐己
    • 雑誌名

      シンポジウム「移動・境界・言語」論文集

      巻: 2025 ページ: 29-48

    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 福祉言語学の再構想2024

    • 著者名/発表者名
      谷口ジョイ
    • 雑誌名

      社会言語学

      巻: 14 ページ: 1-10

    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Semantic and Word Image Change in Shizuoka Dialect Mamettai -Analyzed by Multinomial Distribution Type Regime Switching Detection2024

    • 著者名/発表者名
      谷口ジョイ, 峯尾海成, 門戸拓, 山岸祐己
    • 雑誌名

      静岡理工科大学紀要

      巻: 32 ページ: 47-51

    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 静岡市北部・井川の民話『てしゃまんく』の紙芝居2025

    • 著者名/発表者名
      谷口 ジョイ
    • 学会等名
      国立国語研究所 第19回NINJALフォーラム「こどもたちが大人になったときにも、島のことばが聞こえる世界を残すために」
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 動的計画法を用いたカテゴリカル系列データのレジーム分割2025

    • 著者名/発表者名
      髙井健人, 萩田碧偉, 山崎綾一郎, 谷口ジョイ, 山岸祐己
    • 学会等名
      情報処理学会 第87回全国大会
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
  • [学会発表] 南アルプス井川における消滅危機方言の記録保存と継承2025

    • 著者名/発表者名
      谷口ジョイ, 山岸祐己
    • 学会等名
      南アルプスユネスコエコパーク登録10周年記念シンポジウム
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Collaborative Revitalization Project Showcase: with five communities of Japonic languages2025

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Yamada, Sachiyo Fujita-Round, Madoka Hammine, Noriko Iwasaki, Tomoko Koh, Kayoko Shimoji-Kojima, Trevor Slevin, Joy Taniguchi, Akiko Yokoyama
    • 学会等名
      The 9th International Conference on Language Documentation & Conservation
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 福祉言語学の新たな実践 ー限界集落における方言調査を事例に―2025

    • 著者名/発表者名
      谷口ジョイ
    • 学会等名
      第49回社会言語科学会研究大会
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 地域コミュニティと連携した危機方言の保存・継承ー静岡・井川の事例から2024

    • 著者名/発表者名
      谷口ジョイ
    • 学会等名
      八丈島と八丈小島の魅力発見講座-消滅危機言語八丈語の継承と保存-
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 言語継承の断絶は何を意味するのか2024

    • 著者名/発表者名
      谷口ジョイ
    • 学会等名
      みんぱく創設50周年記念・特別研究国際シンポジウム「国家とエスニシティ:ポストナショナリズム時代の関係」
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 方言×アートワークショップの報告―身近にある多様性を可視化する教育活動―2024

    • 著者名/発表者名
      谷口ジョイ, 伊藤明倫, 岡川卓詩
    • 学会等名
      第14回実践方言研究会
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
  • [学会発表] 方言語彙「いいにする」を用いた短文作成におけるカテゴリカルデータ分析2024

    • 著者名/発表者名
      矢板橋芳生, 山崎綾一郎, 高井健人, 山岸祐己, 谷口ジョイ
    • 学会等名
      第23回 情報科学技術フォーラム
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
  • [学会発表] Youth in translingual and transmissional practices in a rapidly aging society: The importance of 'space' and language: Creative Language Use Among New Speakers in a “Language Island,” Ikawa2024

    • 著者名/発表者名
      谷口ジョイ
    • 学会等名
      International Association of Applied Linguistics
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
  • [学会発表] Language Revitalization Workshop: Experience from Different Communities2024

    • 著者名/発表者名
      谷口ジョイ
    • 学会等名
      International Seminar "Decolonizing Futures: Transforming an Era of Environmental Catastrophe, Poverty, Hatred, Discrimination and Violence into an Era of Hope"
    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] Transcending Language Education in Japan

    • URL

      https://www.bloomsbury.com/us/transcending-language-education-in-japan-9781350497191/

    • 関連する報告書
      2024 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2024-04-11   更新日: 2025-12-26  

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