| 研究課題/領域番号 |
24K00102
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| 研究種目 |
基盤研究(B)
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| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分03010:史学一般関連
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| 研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
野澤 丈二 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (90742966)
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| 研究分担者 |
榎本 泰子 中央大学, 文学部, 教授 (00282509)
井口 淳子 大阪音楽大学, 音楽学部, 教授 (50298783)
趙 怡 関西学院大学, 経済学部, 教授 (10746481)
森本 頼子 名古屋音楽大学, 音楽学部, 非常勤講師 (50773131)
藤田 拓之 大阪産業大学, 国際学部, 准教授 (80572297)
二村 淳子 関西学院大学, 経済学部, 教授 (20782452)
学谷 亮 中央大学, 文学部, 准教授 (00801979)
LEROUX Brendan 法政大学, 国際文化学部, 准教授 (80610203)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2026年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2025年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2024年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
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| キーワード | 上海 / フランス租界 / 文化政策 / 西洋音楽史 / グローバル・ヒストリー / 比較文化 / 日仏中 / ル・ジュルナル・ド・シャンハイ / 上海フランス租界 |
| 研究開始時の研究の概要 |
上海フランス租界(1849年ー1943年)が「日本・フランス・中国三か国間の文化交流」において果たした役割を明らかにする。国家の文化・外交政策と民間(教育者、芸術家、宣教師など)の文教活動に焦点を当て、上海フランス租界を舞台とした国際的な文化交流の実態を明らかにする。フランス外交史料館所蔵の史料を中心に、中国国内の档案館所蔵の関係史料、上海で発行されていた仏語紙、ロシア語新聞など、従来の上海租界史研究や日仏文化交流史ではほとんど利用されてこなかった史資料を重点的に調査・分析する。上海フランス租界が欧州と日本、あるいは東アジアとの文化交流の重要な接続点になりえていたことを実証的に解き明かす。
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| 研究実績の概要 |
2024年度は合計8回(オンライン4回、対面で4回)の研究会および打ち合わせを実施した。このうち2回については、関東と関西に別れているメンバーの全員が対面で集まり、研究成果を共有し、今後の方針ついての意見交換を行った。2024年度の活動内容と成果は、3つに大別できる。 (1)まだ新しい研究分野ともいえる「上海フランス租界史研究」の到達点と課題について、メンバー全員でこれまでの研究史を共有した。より具体的には、2023年に刊行された編著『上海フランス租界への招待』を執筆者間で読み直し、相互に批判的な検証を行った。また、新たに当該分野に取り組むメンバーの発表を通して、英米による旧上海共同租界の運営やパリ外国宣教会の活動についても理解を深めることができた。 (2)メンバーの半数が上海での調査を実施した。2024年11月末にビザ免除措置が再開されたことにより、中国への渡航が容易になった。現地では、上海図書館での調査に加え、旧フランス租界の中心的な街区を見学した。またフランス租界史研究に関わる中国側の研究機関や専門家との交流をはかった。 (3)フランス外交史料館(パリ郊外にあるラ・クルヌーヴ)において、旧上海フランス租界に関連する文書を取り寄せ撮影を行った。フランス公文書館の所蔵史料や調査結果については、メール/共有クラウド/オンライン研究会などで随時共有した。 このほか、特記すべき成果として、本研究課題に関するウェブサイトの立ち上げや国際学会におけるパネル発表などを挙げることができる。また研究分担者の井口淳子はJSPS科研費20H01302「上海フランス租界を結節点とする日仏中三か国の文化交流」(代表:榎本泰子)以来の研究成果として、『上海、対岸のヨーロッパー租界と日本をつなぐ芸術家群』(岩波書店、2024年)を公刊した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、上海フランス租界(1849―1943年)が「日本・フランス・中国3か国間の文化交流」において果たした役割を明らかにすることである。フランス外交史料館所蔵の史料を中心に、上海で発行されていたフランス語やロシア語の新聞など、従来の上海租界史研究や日仏文化交流史ではほとんど利用されてこなかった史資料を主な調査・分析の対象としている。 第一年次(2024年度)には大きく2つの目標があった。ひとつは(1)フランスと中国で現地調査を行い、研究基盤を整えること。もうひとつは(2)中仏2か国における現地協力者・研究者とのネットワークの構築と維持である。 (1)については、各メンバーの分担に応じて、上海とパリの2つの都市で調査を実施した。上海においては、主に上海図書館(上海科学技術情報研究所)および土山湾博物館での調査を行った。フランス・パリの外交史料館では、主に1910年代後半から1930年代末までの旧上海フランス租界に関する文書を多数収集することができた。 (2)に関しては、①上海社会科学院および上海科学会堂の関係者らと交流を深めた。とりわけ、一般には非公開の旧フランス官立学校(旧上海アリアンス・フランセーズ)の内部を見学できたことは大きな成果だった。さらに、②学術誌『上海法租界研究』を編纂する若手研究者グループや、③上海音楽学院の研究者らとも意見交換を行い、今後の共同研究の可能性について具体的な話し合いを行った。フランスにおいては、旧上海フランス租界公董局の教育総監であり音楽評論家でもあったシャルル・グロボワの遺族とも面談し、遺品の内容や保管について現状を確認した。 このほか、国内においては、大阪産業大学の梅田サテライト・キャンパスにある「無用文庫」を複数回にわたり訪問し、倉橋幸彦氏個人蔵の蒐集品のなかから、上海に関する稀少な歴史地図や絵葉書を多数閲覧することができた。
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| 今後の研究の推進方策 |
第二年次(2025年度)は、おおむね当初案に基づき、以下の3つの作業を中心に進める。 (1)本課題の研究基盤となる関連資料の収集を継続する。フランスでは、南西部の都市ナントにあるフランス外交史料館を訪問し、旧上海フランス租界に関する資料を収集する。必要に応じて、状況が許せば、フランス国立図書館(BnF)、フランス国立公文書館(Archives nationales)、パリ外国宣教会/フランス・アジア研究所(IRFA)も調査対象とする。上海においては、上海図書館の分館である徐家匯蔵書楼での調査を行う。 (1)の作業と並行して、(2)すでに収集した資料の整理を進め、データベースの構築、関連文書の解読を行う。 (3)旧フランス租界史に関する国際シンポジウムを上海と東京で実施する。上海では、2025年9月に上海科学会堂を会場として開催する。共通論題として、旧上海アリアンス・フランセーズおよび前述のシャルル・グロボワを掲げる予定である。 このほか、音楽史を専門とするメンバーが中心となり、「帝国劇場(東京)とライシャム劇場(上海)との関係」について、慶應義塾大学メディアセンター所蔵の資料調査を実施する。こうした取り組みは、航路と港湾都市でつながる劇場と音楽文化交流についてグローバル・ヒストリーとして位置付けることができる。本研究課題の特徴でもあるマルチ・アーカイブ的手法が十分に活かされるだろう。
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