| 研究課題/領域番号 |
24K00229
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| 研究種目 |
基盤研究(B)
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| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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| 研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
千葉 大奈 神戸大学, 法学研究科, 法学研究科研究員 (60900149)
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| 研究分担者 |
多湖 淳 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80457035)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2028-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2027年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2026年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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| キーワード | 国際司法 / 因果推論 / 機械学習 |
| 研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、国際関係において国際司法制度が果たす役割を、因果推論・データサイエンスの手法で明らかにすることである。国際司法制度は、国際社会の法秩序形成にどのように貢献しえるだろうか。罰則規定や強制執行権力のない国際法廷は、どのようなメカニズムで判決への自発的な遵守を引き出し、その正統性を確保しているのだろうか。国際法廷による判決・判例は、どのように他の事例へと波及し、国際秩序の形成に貢献するのだろうか。このような問いに対して、日本・アメリカ・中国の研究者を中心とした国際的な共同研究により、政治学・法学・情報科学にまたがる学際的な視点・手法を駆使した分析を行う。
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| 研究実績の概要 |
本研究の目的は、国際関係における国際司法制度の役割とその効果を、因果推論やデータサイエンスといった最先端の実証的手法を駆使して明らかにする点にある。具体的には、第一に国際司法機関の立法機能に着目し、国際社会における法やルールの形成・変化のプロセスに国際司法がどのように関与し、またどのような意図せざる影響が生じるかを明らかにする。第二に、国際裁判所の判事の投票行動における中立性の実態を解明するため、性別や教育歴、職歴などの詳細な判事データベースを構築し、構造推定などの計量的手法を用いた分析の基盤を整備した。第三に、国際裁判の判決が各国政府や一般市民にどのように受容されるか、特に判決の正統性認識がどのように形成されるかについて、世論調査実験を通じて検証している。本年度の主な成果として、第一のテーマでは、同意付託に基づく国際裁判の判決が予測困難であるという特性を自然実験として活かし、判決が第三国との新規紛争を誘発する場合があることを実証的に示した。第二のテーマでは、国際司法裁判所判事データベースと判決データベースの構築を進め、判事の投票行動の中立性分析に向けた基礎固めを行うと共に、個別論点ごとの判決分析の枠組みも整えた。第三のテーマでは、日本の市民を対象とした大規模世論調査実験を実施し、判決内容や判決の一致度(全会一致か否か)が市民の正統性認識や政府の判決遵守への支持にどのような影響を及ぼすかを検証した。この成果は2025年3月の国際学会で発表し、多くの研究者から有益なフィードバックを得るとともに、今後の国際比較研究につながる知見を得た。以上のように、各テーマで計画的かつ段階的に研究を進め、データの収集・分析、学術発表を通じて、国際司法制度の実態解明に向けた重要な進展を遂げている。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、三つの主要テーマすべてにおいて計画に沿った進捗が見られ、特にデータ整備と初期分析が大きく進展した。第一のテーマである国際司法機関の立法機能に関しては、判決効果を多角的に捉えるため、国際裁判の事例ごとに法的帰結やその後の国際関係への影響を詳細にデータ化し、予測困難性を利用した自然実験的分析を行った。これにより、判決が新たな国際紛争や第三国を巻き込んだ影響をもたらすケースを特定することができた。今後は、こうした事例分析を論文化し、国際学会や学術誌への発表を予定している。また、判決や意見書の参照パターンのデータベース化は、準備段階を経て次年度以降に着手する計画である。第二のテーマでは、国際司法裁判所判事の性別・経歴・国籍など詳細なデータベースを整備し、判事の投票行動の傾向分析の準備が整った。加えて、他の主要な国際裁判所の判事データや判決データの拡充も進行中である。判決データの収集は、他研究者による類似分析の先行発表を踏まえつつ、本研究独自の個別論点ごとのデータ集積や構造推定手法の導入によって独自性を確保している。第三のテーマでは、日本の市民を対象とした大規模な世論調査実験を実施し、その成果を国際学会で報告した。調査では、自国の裁判敗訴の場合でも全会一致判決の際には正統性認識や判決遵守支持が高まることが確認できた。フィードバックをもとに論文化を進めており、また今後は他国でも同様の実験を計画し、比較分析の準備を進めている。これらの進捗の積み重ねによって、国際司法制度の多面的理解が着実に進んでいる。
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| 今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでに得られた進捗と成果を基盤に、三つの主要テーマそれぞれについてさらなる深化と拡張を図る。第一のテーマに関しては、今年度収集・分析した判決効果の事例をもとに、国際裁判の判決が他の国際法や政策決定に与える影響のダイナミクスをより体系的に明らかにする論文の執筆・投稿を最優先事項とする。また、判決や意見書の参照パターンのデータベース化作業に本格的に取り組み、国際司法における判例法理の形成過程や知識の伝播経路を定量的に分析できる体制を整える。第二のテーマでは、判決方向や各論点ごとのデータ収集・分析を拡充し、主観の入りやすい部分については複数人でのコーディング体制を導入するほか、大規模言語モデル(LLM)などAI技術の活用による自動化・効率化も進める。さらに、国際司法裁判所以外の判事や判決データベースも拡充し、異なる国際裁判所間での比較分析の精度を高める。第三のテーマにおいては、全会一致判決の市民意識への影響を多国間で比較するため、東アジア・東南アジア諸国を中心に調査実験を計画・設計し、各国の政治・社会的文脈を反映した調査票作成や現地調査体制の構築も進める。今後は、各国調査の成果をもとに、判決の正統性認識や遵守メカニズムの国際比較研究を推進し、国際司法制度の普遍性と多様性の両面から理論的・実証的知見を発信することを目指す。これらの方策を着実に実行し、最終的には国際社会における司法制度の信頼性や機能の実態に迫る総合的な学術成果を目指して研究を推進していく所存である。
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