| 研究課題/領域番号 |
24K00308
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| 研究種目 |
基盤研究(B)
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| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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| 研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
鈴木 智英 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (50813648)
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| 研究分担者 |
岩井 克人 神奈川大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00143355)
藤岡 資正 明治大学, グローバル・ビジネス研究科, 専任教授 (20817994)
河内山 拓磨 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 准教授 (70733301)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2029-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
15,730千円 (直接経費: 12,100千円、間接経費: 3,630千円)
2028年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2027年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2026年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2025年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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| キーワード | 成熟経済社会 / 新しい資本主義 / 付加価値の適正分配 / 適正分配経営 / マルチステークホールダー主義 / 付加価値分配計算書 / 従業員の株主化 / 新自由主義 / 持続的発展・サステナビリティ / 応用制度設計 |
| 研究開始時の研究の概要 |
新自由主義的な資本主義政策は、投資家の利益獲得動機に依拠して金融資本を拠出させることによって経済の拡大を図ってきた。しかし成熟経済化がコンセンサスとなった状態では投資家は投資ではなく回収に傾倒する。したがって従来通りの投資家優先的な政策を進めては、国民経済の持続的発展を棄損する。本研究は先ずこれを「株式会社制度の逆機能」として理論化し、日本のみならず急速な成熟化の予想される中国やインド、東南アジアでも検討を始める。日本のケースを基に成熟化後の持続的発展政策を考案し実験経済・会計の手法を用いて実証データの蓄積に努める。最終的には実践可能な政策や制度として具体的な提言を志す。
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| 研究実績の概要 |
本研究、『国際的な成熟経済化を背景とする「付加価値の適正分配」のための制度設計』は、戦後の成長期にはプラスに機能していた投資家保護・優遇政策に基づく利益最大化経営が、成熟経済社会下では逆機能を発揮し「投資」よりも「回収」を優先させるために国民経済の健全な発展を妨げているとの理論を前提としている(cf.『新しい資本主義のアカウンティング;「利益」に囚われた成熟経済社会のアポリア』(スズキトモ;中央経済社;2022))。
人口減少等を主たる要因とする成熟経済社会下では増収が困難であるにもかかわらず、新自由主義政策により投資家・株主の権限が強化され続けたために増益・増配圧力が高まり、結果として費用を削減するコストカット型の経済が蔓延したとの見方である(『経済白書;令和6年度年次経済財政報告-熱量あふれる新たな経済ステージへ-』第一章;内閣府;2024)。本研究では、日本のみならず、成熟経済社会化を迎えた資本主義世界では、同様の「株式会社制度の逆機能」が起こり持続的発展を棄損しうるとの懸念から、その対応策を検討している。
研究初期においては、(1)「株式会社制度の逆機能」の事実確認を多くの上場企業や経済団体との協働によって進めている。同時に(2)その弊害を抑制するために、損益計算書を補完する「付加価値分配計算書」を開発し、これが株主以外のステークホールダーに付加価値を適正に分配する制度・実務のナッジとして機能しうるか検討・確認している。更に(3)株主還元のために実施された自己株買いの結果として累積する23兆円の自己株式を従業員へ付与する「従業員の株主化」が効果的に付加価値の適正分配に貢献しうるか検討・確認を進めている。上記の財務的な施策にとどまらず、(4)それと並行して検討されるべき経営企画や人事制度の改革も企業と共同で検討している。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)に関しては、これまでに大小200社以上の上場会社との協働によって、少なくとも大きな割合で後期資本主義における株式会社制度の逆機能が発生していることを確認している。 (2)については、有価証券報告書データに加え、企業内部情報を入手することにより30社ほどの上場企業の「付加価値分配計算書」を作成し、その分析・解釈も併せて行っている。現在は「付加価値分配計算書」の作成手続きを標準化し公表できるよう準備を進めている。 (3)については月刊『資本市場』誌上で、アイディアを共有し広い支援を得るに至り、政府、経済団体、企業らとその実行可能性を検討・確認している。 (4)については、大小5社の経営企画及び人事制度の改定に参画し、付加価値の適正分配経営が付加価値分配計算書と共に実行可能である条件を探っている。また、30社以上に、付加価値分配計算書を組み込んだ統合報告書(案)を提示し、やはり付加価値分配計算書と適正分配経営の整合性の担保を確認している。
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| 今後の研究の推進方策 |
今後も(1)~(4)についてはデータの蓄積と分析に努める(2025-27を予定)。2025年度においてはプライム市場を中心に多くの企業に付加価値の適正分配計算書を試用してもらい、そこで得られる知見を分析する。2026年度においてはそうした知見を基に単著を発刊したい。また、同時に、成熟経済社会における株式会社制度の逆機能に関する英文論文又は単著を起草しはじめる。
そうしたデータと経験値の蓄積に努めると同時に(5)「株式会社制度の逆機能」と「適正分配政策・経営」に関する理論の精緻化を進め、その政策的示唆の整理に努める(2025-28を予定)。更に、
(6)本研究はそうした知見の国際化を企図しているため、今後急激な人口減少と成熟経済社会下の想定される中国、インド、東南アジア諸国との連携を進める(2026-29)。
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