| 研究課題/領域番号 |
24K00334
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| 研究種目 |
基盤研究(B)
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| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分08010:社会学関連
小区分80030:ジェンダー関連
合同審査対象区分:小区分80030:ジェンダー関連、小区分08010:社会学関連
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| 研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
成 元哲 中京大学, 現代社会学部, 教授 (20319221)
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| 研究分担者 |
三上 直之 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (00422014)
牛島 佳代 愛知県立大学, 看護学部, 准教授 (10336191)
松谷 満 中京大学, 現代社会学部, 教授 (30398028)
高木 竜輔 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 准教授 (30512157)
松井 克浩 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (50238929)
除本 理史 大阪公立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (60317906)
長澤 壮平 中京大学, 文化科学研究所, 研究員 (70535327)
藤川 賢 明治学院大学, 社会学部, 教授 (80308072)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2026年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2025年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2024年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
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| キーワード | 分断修復学 / 集合的トラウマ / 原発分断 / 個別的トラウマ / 語りの収集 / 共同の物語化 / ストーリーテリング / 対話の場 / ストーリーテリング活動 / ぼくらのトラウマ(共同の物語) |
| 研究開始時の研究の概要 |
本研究は、福島県中通り在住者、浜通り在住者、広域避難者(新潟県、大阪府、岡山県など)の3・11後、長い時間をかけた人間の経験を「語り」として収集し、その記憶を「共同の物語」として再構築する作業を進める。この物語を語って経験を共有するストーリーテリング活動を県内外において展開し、原発事故を終わったことにしない/福島だけの問題にしないための社会学的な介入研究を行う。
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| 研究実績の概要 |
2011年3月の東日本大震災・東京電力福島第一原子力発電所事故は個人への傷(Individual trauma)だけでなく、家族や地域社会といったコミュニティに今尚、深い傷を残している。原発事故後の放射能への対応をめぐる「語りにくさ」、地域の祭りや年中行事の中断、人間関係のわだかまりなど、原発事故は社会組織や集団生活に対して感情的、心理的なストレスを与え続け、家族・地域社会にも亀裂をもたらしている。原発事故がもたらす分断の状況を集合的トラウマ(Collective trauma)として捉え、その修復に向けた社会学的介入研究を行うのが本研究の目的である。 2024年度は、次の二つの取り組みを行った。 第1に、福島中通り在住者、浜通り在住者、広域避難者(新潟県、大阪府、岡山県など)の3・11後、長い時間をかけた人間の経験を「語り」として収集し、その記憶を「共同の物語」として再構築する作業を進めるための研究会を、研究班全体で3回(名古屋市、いわき市など)、複数の研究者集団で現地見学・調査を踏まえつつ、複数回行った(郡山市、いわき市、新潟市など)。 第2に、この物語を語って経験を共有するストーリーテリング活動を福島県内外において展開し、原発事故を終わったことにしない/福島だけの問題にしないための介入研究を行う予定で検討を開始した。 2024年度は、研究組織内部での基本コンセプトの共有、今後の研究計画を確認するための研究会の開催、福島中通り在住者、浜通り在住者、広域避難者からの語りの採集を行った。これにより、原発分断を集合的トラウマ(Collective trauma)として捉え、分断修復に向けた社会学的介入研究に着手した。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
大きく次の4つの理由からである。 第1に、福島中通り在住者、浜通り在住者、広域避難者(新潟県、大阪府、岡山県など)の3・11後の経験を共有し、その記憶を「共同の物語」として再構築する作業を進めるための研究組織内部での基本コンセプト・研究計画などを確認したうえで、それぞれの地域別にこれまで13年間の取り組みの上に関係者の「語り」の収集と、その記憶を「共同の物語」として再構築する作業を進め始めたからである。 第2に、ただ、福島中通り在住者、浜通り在住者、広域避難者の各々において、忘却の波が押し寄せていることに加えて、今を生きることに必死であるため、ふりかえって記憶を収集するためには相当の工夫が必要であるといった課題も確認できたからである。 第3に、さらに、採集した経験や物語を共有するストーリーテリング活動を展開するための手法の検討も同時並行ですすめる必要を確認できたからである。
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| 今後の研究の推進方策 |
2025年度は、大きく二つの課題に取り組む。 第1に、福島中通り、浜通り、広域避難といった地域別に、関係者の「語り」の収集を行うとともに、その記憶を「共同の物語」として再構築する作業を進める。とりわけ、社会全体の忘却の波が押し寄せている中で、沈黙しがちな福島県中通り在住者を中心とした語りの収集のために、原発事故後の生活と健康を問うアンケート調査(福島子ども健康プロジェクトによる第10回調査)を実施し、ふりかえって記憶を語る作業を行う。 第2に、浜通り、広域避難の地域においても、関係者の「語り」の収集を行い、採集した経験や物語を共有するストーリーテリング活動を試験的に展開する予定である。 こうした取り組みを通じて、家族や地域社会における人間関係の分断を伴うトラウマ的な過去と向き合い、対話的に想起することが、分断の修復につながる近道であることを確認したいと考えている。
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