| 研究課題/領域番号 |
24K00422
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| 研究種目 |
基盤研究(B)
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| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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| 研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
上ヶ谷 友佑 広島大学, 附属福山高等学校, 教諭 (80813071)
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| 研究分担者 |
杉田 浩崇 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (10633935)
白川 晋太郎 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 講師 (30849302)
大谷 洋貴 大妻女子大学, 家政学部, 講師 (40825238)
伊藤 遼 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (70853422)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2028-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
15,340千円 (直接経費: 11,800千円、間接経費: 3,540千円)
2027年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2026年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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| キーワード | 推論主義 / 数学教育 / 教育哲学 / 哲学 / 概念ネットワーク |
| 研究開始時の研究の概要 |
本研究では次の3つの問いを探究する.[問①] 推論主義の視座から見て,学校教育における概念発達はどのようなものであるべきか? [問②] 既知の数学的概念や既知の日常的概念の影響を加味すると,意図的な概念発達を促進する学習活動はどのような形を取り得るか? [問③] 数学教育研究の成果は,教育哲学および哲学にどのように応用し得るか?
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| 研究実績の概要 |
本研究は,概念ネットワークの深化について,数学教育研究の分野を中心に,推論主義(inferentialism)の視座から再検討することを出発点とし,哲学・教育哲学・数学教育の三分野の理論的成果と方法論を活用して追究するものである.また,その研究過程や研究実践の実際から,三分野の互恵的発展を目指すものである.推論主義においては,ある語や命題の意味は,それが担う推論的役割(他の命題との実質推論の関係)によって定まるとされるが,本研究はこの視座を活用し,教育現場における生徒の言語活動を意味の構成プロセスとして分析する枠組みを構築してきている. 特に,数学教育研究の分野においては,統計的レポートにおける生徒の非形式的推論の分析を通じて,日常概念と数学概念の相互発展を支える推論構造を明らかにし,数学教育研究において「数学の脱中心化」が重要であることを特定した.また,哲学分野においては,変数表現の役割に注目し,Kripkeの規則のパラドックスをBrandomの推論主義の立場から再解釈することで,規則の表現における不同意は,理由のやりとりの中で解消可能であることを論証した.さらに,教育哲学・哲学・数学教育の三分野の研究者で実施した数学の授業の共同分析を通じて,数学的ディスコースにおける主張の受容のあり方をde dicto/de reの区別を用いて精緻に描き出し,理解の深化「推論ネットワークとの接続の度合い」として再定義した. これら三分野での研究は,個別に発展しながらも,相互に理論的貢献を与え合う互恵的な関係を築きつつ進められている.推論主義に基づく概念ネットワークの深化に関する研究が,数学教育の分野を超えて様々な学問分野へ波及する可能性を示唆している.
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は,推論主義の視座から概念ネットワークの深化を追究することを目的とし,数学教育・哲学・教育哲学の三分野の互恵的連関のもとに進めてきた.その中でも特に成果が大きかったのは,数学教育分野において,推論主義に基づく理論的視座から取り組んだ論文 "Decentralising Mathematics: Mutual Development of Spontaneous and Mathematical Concepts via Informal Reasoning" が,数学教育の国際的なトップジャーナルである Educational Studies in Mathematics 誌に採択されたことである.推論主義の哲学的立場を数学教育の実証研究に展開し,国際的な高評価を受けたことは,本研究計画の進展において決定的な節目となった. さらに,他の研究成果とも連動しながら.数学教育・哲学・教育哲学の三分野それぞれにおける発展と,分野横断的な理論の深化が互恵的に機能している.実際,哲学分野では変数の表現的役割と規則の理解に関する論考を発表し,また三分野共同の枠組みでは高校数学的ディスコースの理解の進展をde dicto/de reの区別に基づいて精緻に描写した.これらは互いの成果を理論的に支え合う関係となっており,本研究の学際的な構想は着実に実現されつつある. 令和7年度に向けては,教育哲学の理論的展開や,その具体的実践例の設計・実施についても,令和6年度中より既に始めることができている.公表された研究成果以外の側面においても計画は順調に進展している.
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| 今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進にあたって,まず,現在複数の論文が査読中となっているので,査読結果に応じた修正および再投稿に迅速に対応できる体制を整える.分野横断的な研究である本課題においては,論文ごとに異なる分野的背景を踏まえた柔軟かつ丁寧な応答が求められるため,必要に応じて共同研究者との連携を密にしながら取り組む.また,令和6年度に実施した複数の授業実践については,その映像記録や生徒のワークシート・発言記録をもとに分析を進め,成果の学会発表を令和7年度後半に実現することを目指す.加えて,本研究の中心的な目的である「概念ネットワークの深化」により直接的に迫るため,推論主義の観点から設計した新たな授業実践の計画にも着手する.数学教育・哲学・教育哲学のそれぞれの理論的蓄積と,既存実践の分析結果を踏まえつつ設計された実践を通じて,各概念がどのように推論的接続を獲得していくかを検証することで,研究の質的深化と実践的応用を同時に進めていく.
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