研究課題
基盤研究(B)
本研究では、非マルコフ過程の初期通過時間(FPT)を定量的に記述するための基礎理論の構築を行う。FPTは確率過程を特徴づける重要な概念であり、工学や生物学などの諸分野も 含め、その応用は広範に渡る。ところが、これまでの理論は確率過程のマルコフ性に基づいて定式化されており、これを非マルコフ過程へと拡張することは重要な未解決問題なっている。近年、ソフトマターや細胞など複雑な内部構造を持つ系において、非マルコフ性に由来する特異な輸送現象が次々と報告されており、このような複雑系に適用できるFPT理論構築に大きな関心が寄せられている。このような状況下、本研究では、当該分野におけるブレークスルーを目指す。