| 研究課題/領域番号 |
24K00759
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| 研究種目 |
基盤研究(B)
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| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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| 研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
澁谷 陽二 長崎大学, 総合生産科学研究科(工学系), 客員研究員 (70206150)
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| 研究分担者 |
小山 敦弘 長崎大学, 総合生産科学研究科(工学系), 准教授 (40324800)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)
2026年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2025年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2024年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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| キーワード | 非破壊観察 / ビーム照射熱音響波動顕微鏡 / 連成波動 / 超解像法 / 深層学習 / ビーム照射熱音響連成波動 / VDSR法 |
| 研究開始時の研究の概要 |
従来よりX線や超音波を用いた非破壊検査手法が実用的に用いられているが,幅広い分解能を1つの手法で網羅することは困難である.そこで,本提案では温度場,力学場,電場の3つの場の連成波動のマルチフィジクス問題の解の応用として,熱の波動(熱波)と弾性波動(音波)による連成波動の動作原理を実用化する.そのために,強制振動を与える媒体として電子線とレーザー光を取り上げ,ダイナミックレンジの拡大された顕微システム(SBAM)を構築し,実用的な非破壊像の取得を目指す.また,非破壊内部観察像の画像改質アルゴリズムとして,深層学習による超解像法(VDSR)により画像の回復を行うシステムを構築する.
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| 研究実績の概要 |
熱の波動(熱波)と弾性波動(音波)による連成波動の動作原理を実用化したビーム照射熱音響連成波動顕微鏡(SBAM)の開発において,強制振動のハンマー効果となる電子線(SEAM)とレーザー光(SLAM)を取り扱うそれぞれの装置の信号受信部を共通化した.経年劣化の見られるSEAMのメンテナンスをまずは実施するとともに,市販のピエゾ素子と自作による増幅回路から構成していた信号受信部について,これらが組み込まれた市販のAEセンサーに交換した.これにより,従来十分に除去できなかったノイズを低減させ,信号受信部システムの簡素化が実現できた.これらの対応からS/Nは改善し,電子線のSEAMとレーザ光のSLAMの試料取り付け部,位相差信号受信部の共通化が達成されたことで,同一試料の非破壊観察が可能になった. 非破壊内部観察像の画像改質アルゴリズムとして,matlab言語を用いた深層学習による超解像法(VDSR法)の画像改質プログラムを作成した.放物型非定常拡散微分方程式の解の結果として,欠陥境界情報があいまいになったと仮定し,その微分方程式の時間反転性を取り扱う手法としてVDSR法を位置づけている.その指針のもとで,学習する画像とテスト画像の前処理として拡散させるとともに,ホワイトノイズ(ガウスノイズ),1/fノイズを人工的に作成し,それらの画像に重畳させた.これは,確率論的な効果を期待して実施した.その結果,拡散方程式のみに基づく前処理よりも,ノイズを重畳させた場合の方が画像改質としての改善が定量的に見られた.さらに,これらのノイズを混合させた場合と,SEAMとSLAMで用いるファンクションジェネレータの機器電気ノイズを用いた場合について調査した.どの程度のS/Nにするかの不確定因子はあるが,比較的小さなノイズレベルでは改質が向上する一方,過度に大きな場合には改善されなかった.
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画どおり,順調に進展している理由として下記の2点が挙げられる.まず,従来より構築してきた走査型電子線誘起超音波顕微鏡(SEAM)と,開発が進められていたレーザー光誘起超音波顕微鏡(SLAM)の信号受信部について,同一のAEセンサーを用いた受信部システムとして開発し,共通化することで,同一試料の非破壊観察が可能になった.これにより,半導体デバイスで見られるサイズの異なる欠陥等の実用的な非破壊観察に向けて,次の段階に移行できることになった. 次に,当初予定の深層学習超解像法(VDSR法)による画像改質のプログラムを作成し,そのシステムがGPU上で動作することにより,深層学習の高速化を達成した.そして,改質画像のさらなる高分解能化のため,人工ノイズ,電気ノイズなどを重畳させた学習データによる効果が確認できた. これらのことから,おおむね順調に進展していると判断できる.
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| 今後の研究の推進方策 |
今後は,まず半導体デバイスで想定される欠陥検出の試みを進める.そのために,電子線を用いたSEAMでは,基盤となる走査型電子顕微鏡(SEM)の対物レンズによる絞りと,絞りによるハンマー効果の減少といったトレードオフを見極め,最適な観察条件を見い出す.そして,レーザー光を用いたSLAMでは,ビーム出力の増強によるハンマー効果を増大させた機器開発に取り組むことを予定している.これらのことにより,サイズの異なる種々の欠陥検出の非破壊観察の精度向上に供することができると予想している. 深層学習を用いた画像改質アルゴリズムでは,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)のバラメータ最適化を行う.まずは,(i)連続な活性化関数の活用を試みる.現在は,屈曲部を持つ非線形な関数を用いており,屈曲部での微分可能性に問題がある.そのため,滑らかで微分可能な連続関数を用い,その効果を定量的に調査する.そして,(ii)CNNバラメータ最適化のために,(a)ノイズによる目的関数の平滑化,(b)Langiven動力学を用いた最適化といった手法の開発を行う.(a)では,令和6年度で実施した人工ノイズを活用して組み込むことが可能である.(b)は新たなプログラムの作成が必要なので,まずは(a)による効果を見定める予定である.
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