研究課題
基盤研究(B)
本研究の核心をなす学術的「問い」は、「どの程度スケールが大きくなれば、どの程度の誤差を無視する近似で流体力学が有効となるのか、中間スケールでは既存の流体力学とどのような差異があるのか」に集約される。ボルツマン方程式に基づく希薄気体力学は、連続体理論の成立条件「クヌーセン数≪1」を微視的理論から導出する唯一の体系であるが、ボルツマン方程式それ自身の成立条件としてのボルツマン-グラッド極限が前提となっており、「少数の分子を含む小さな検査体積」の力学を扱うことはできない。分子動力学計算によって得られる任意の有限な検査体積の保存方程式の解析をとおして、冒頭の学術的「問い」に答えることを目指す。