研究課題
基盤研究(B)
有機分子性導体は、古くから基礎・デバイス応用の両面で精力的に研究されてきた一方で、電荷-スピン変換に必須とされるスピン軌道相互作用がこの物質群では極めて小さいことから、スピントロニクスへの展開は困難と考えられてきた。本研究では、キラル誘起スピン選択性(CISS効果)を有機強相関系に組み込むことで、この常識に挑戦する。CISS効果は、キラル分子で見つかったキラリティと結合した新しいスピン流生成機構である。キラルな強相関電子系の新規デバイス化によって、CISS効果に由来する巨大スピン自由度をバルク物性として顕在化させ、外場による量子相制御を通じてスピン流を自在に生成・制御・転送する手法を開発する。