| 研究課題/領域番号 |
24K01333
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| 研究種目 |
基盤研究(B)
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| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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| 研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
高野 義彦 国立研究開発法人物質・材料研究機構, ナノアーキテクトニクス材料研究センター, グループリーダー (10354341)
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| 研究分担者 |
黒木 和彦 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (10242091)
榊原 寛史 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (20734354)
渡部 洋 日本大学, 生産工学部, 助教 (50571238)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2026年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2025年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2024年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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| キーワード | 超伝導 / ニッケル系 / ハバード模型 / 高圧 / DAC |
| 研究開始時の研究の概要 |
La3Ni2O7等における超伝導の発現条件の探究について理論と実験が協調して研究を実施する。 理論:超伝導とCDWの競合の起源を理論的に解明し、圧力以外の手法で実現するための方策を探究し実験班に示唆する。二層型ハバード模型に集中し、より現実的な模型を解析する。 実験: CDWの抑制に圧力印加が有効である事が明らかになりつつあるが、化学圧力効果を実験的に検証するとともに、元素置換を施しより高い超伝導転移温度の実現を図る。また、La3Ni2O7の物性は、酸素量変化にきわめて敏感である。HIP処理を行った試料と酸素量を減少させた試料を合成し、CDWおよび超伝導に与える影響を評価し、超伝導発現メカニズムの解明に資する。
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| 研究実績の概要 |
榊原・黒木らは、La4Ni3O10の理論計算を担当した。成果として、La4Ni3O10が約15GPa以上の圧力でI4/mmm空間群に属する結晶構造に転移することが判明した。La4Ni3O10に対し有効模型を導出し、それに対し揺らぎ交換近似を用いた理論的解析を行った結果、約20~30K程度の超伝導の実現を予想していた。高野らは、理論予想により超伝導の発現が期待されるLa4Ni3O10について試料合成を行った。通常の固相反応では単相試料が得られない事が分かった。これはニッケル酸化物の反応性が低いことに起因していると思われた。そこで、途中まで合成した試料を一旦水素還元してNi微粒子を製作し速やかに再合成することにより純良な単相試料の合成に成功した。これはNi微粒子が高い反応性を持つことを利用したもので、経験に基づく発想である。得られた試料を高圧下で評価したところ、理論予想通り超伝導の出現を確認する事に成功した。 また、黒木・榊原らは、常圧で正方晶となり、超伝導化するニッケル酸化物の候補として、Sr3Ni2O5Cl2を提案した。フォノン計算により、高圧領域のLa3Ni2O7と同じI4/mmm空間群に属する構造が常圧で実現することを示し、揺らぎ交換近似を用いて高いTcが期待できることを示した。これを受け、高野らは高圧合成技術を用いてSr3Ni2O5Cl2の合成に挑戦し、成功した。測定の結果、理論で予想されたI4/mmmの結晶構造が実現している。現時点では超伝導は観測できていないため、今後は原因を究明し超伝導の実現を目指す。 また、黒木・榊原らはDMRG法を用いてLa3Ni2O7を模した梯子型模型を解析し、鎖間ペア相関関数の発達を見出した。渡部は変分モンテカルロ法による予備的計算により、黒木・榊原らのLa3Ni2O7における揺らぎ交換近似と整合する超伝導対称性を得た。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
理論班は計算予測に基づき物質を設計し、実験班は実際に試料を合成し高圧下を含めた物性評価を行い、新規超伝導体の発見に成功した。理想的な理論と実験の連係が実現し新超伝導の発見に至っており、プロジェクトは概ね想定通りに進展している。 具体的には、榊原・黒木らは、La4Ni3O10の理論計算を担当し、La4Ni3O10が約15GPa以上の圧力でI4/mmm空間群に属する結晶構造に転移することを予測するとともに、La4Ni3O10に対し有効模型を導出し、それに対し揺らぎ交換近似を用いた理論的解析を行った結果、約20~30K程度の超伝導の実現を予想した。 高野らは、理論予想により超伝導の発現が期待されるLa4Ni3O10について試料合成と物性評価を行った。ニッケル酸化物は反応性が低いため、通常の固相反応では単相試料が得られなかった。そこで、借り焼成した試料を一旦水素還元してNi微粒子を製作し、その後、速やかに本焼成することにより純良な単相試料の合成に成功した。これはNi微粒子が高い反応性を持つことを利用したもので、経験に基づく発案による成果である。得られた試料を高圧下で評価したところ、理論予想通り超伝導の出現を確認する事に成功した。このように、理論予想に基づき新規超伝導体の発見に成功するなど、理想的な理論と実験の連係がなされ、本プロジェクトは順調に進展しているといえる。
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| 今後の研究の推進方策 |
近年、Stanford大のHwang教授らのグループによって、La3Ni2O7の薄膜が常圧で超伝導化することが示された。実験結果によれば、薄膜を成長させる基板の種類に超伝導の発現の可否が依存していることが示されている。本年度はこの原因を第一原理計算及び多体モデル計算を用いて解明する。 また、La3Ni2O7は実空間的に2層構造を取る超伝導体であるが、本年度は多軌道の効果に起因する新超伝導体の設計も行う。多軌道系の候補として既に黒木らが公表したSr2NiO2Cl2という物質に関連する、Ba2PdO5Cl2と呼ばれる結晶の研究を行う。Ba2PdO5Cl2は先行研究よりバンド絶縁体であることが示されているが、通常の第一原理計算手法である局所密度近似では金属状態を予想する。この問題を解決するため、局所密度近似を超えた手法である、準粒子自己無撞着GW法を用いた解析を行う。実験班は、理論で予想された多軌道系の超伝導の候補物質の合成に取り組む。頂点が塩素の複合アニオン物質は高圧合成による密閉系が適した合成手法であると思われるので検討する。 また、渡部らは、La3Ni2O7においては、圧力によって正方晶となり、そこで超伝導が実現するが、非線形フォノニクスを利用し、光照射によって、結晶構造を制御して正方晶に近づける可能性について検討する。La3Ni2O7やその他のニッケル酸化物に対して変分モンテカルロ法による解析を進め、超伝導相関関数・超流動密度・コヒーレンス長などの物理量の振舞いやパラメータ依存性を計算することでより詳細な議論を進める。
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