研究課題
基盤研究(B)
発生過程の胚は「多能性幹細胞状態」から「より細胞運命が絞り込まれた細胞状態」への遷移の連続によって多彩な細胞集団を産み出す。これまで、この過程に関与する転写因子の主たる役割は、それぞれの細胞運命を推し進める遺伝子群を発現させることであると考えられてきた。一方で胚発生における細胞分化は「それ以外の細胞運命への可能性を閉じる過程」と捉えることができる。本研究では、原腸陥入後の体細胞分化を制御する転写因子が、正の転写によってある細胞状態への分化を推し進めつつ、同時に、それ以外の細胞状態を規定する遺伝子発現を積極的に抑制する仕組みを明らかにして、細胞運命の絞り込みの本質を理解する。